2014-01-01から1年間の記事一覧
会社のわたし。 通勤中のわたし。 自宅のわたし。 ジムのわたし。 ともだちとおしゃべり中のわたし。 彼氏とのわたし。 ひとりコンビニのわたし。 一枚ずつレイヤーを脱いでいって、一日の最後に、本当のわたしになる・・・いつもは。 でも、どうしよう。 き…
私の家庭には会話がない。正確に言うなら、言葉がない。 我が子のためだ。 やむをえまい。 我々は、ある画期的な教育プログラムに参加している。 これが英語教育の最先端だと聞いている。 私の理解では、このようなことだ。 英語がカラダに入ってこない理由…
「なんだ、もう帰ってきたの?だってあれだけあっさりと僕のことを見捨てて行ったのに」 「私はほんとうに国際貢献したい、世界の役に立ちたいって思ってた。心からそう思った。そのためにはあなたを失ってもいいとさえ思ったわ。でも・・・」 「でも、なに…
我が教団は、よりよき愛を宇宙全体に広めることを目的としております。 そこで、愛を表す言葉を一千通り、作りました。 愛にもさまざまなかたちがあるからです。 さまざまな思いが込められれているからです。 雪に閉ざされた環境に住むというある種族は、雪…
人類は宇宙に進出して以来、無重力環境に適応した形で進化を遂げた。 地球上では重い頭を天辺に頂き、重力に逆らって二足歩行を無理やり続けていた人類は、肩の凝る無駄な努力を止め、やっと頭は胴体の下側についたが、下から物を食べても無重力なので食道を…
最近、女性誌の特集記事ってこればっかり。 最新のバイオテクノロジーだかなんだか知りませんけど、要するにあれと同じことよね。 それにしても、『ビューティーマスク』って、またそのまんまというか、ずいぶん大胆なネーミングね。 ずっとさっきから気にな…
1.呼吸は全然合っていない。 2.アルコールの作用で呼吸を落ち着かせる。 3.特に深い意味のないおしゃべりでペースをあわせる。 4.静かな場所へ移り、音の高低(ピッチ)を揃える。 5.ことばを控えて、呼吸をさらに減らしていく。 6.グランドレベ…
私は普通、人には見せないものをしている仕事をしてる。 食事とか、痴話喧嘩とか、セックスとか、そういう個人的なもの。 カメラの前ってこともあるし、 或いは舞台でもやる。 何を言うかは全部決まっているから、自分で考えることはないわ。 インタビューと…
「私に触る前にまず指紋認証して」と彼女は言った。 「読み取りするところはどこにあるの?」と私は言った。 「どこにあると思う?探してみたい?」と彼女は言った。 「少し時間かかるかもね」と私は言った。 「いいわよ、好きなだけ時間をかければ」と彼女…
彼はある男を殺してしまった。 しかし、彼は慌てなかった。 「緊急犯罪処理サービス(ECMS)です」と落ち着いた女性の声が応答し、相手と状況について簡潔に質問していく。 「質問は以上です。通話記録はこちらで削除します」 被害者のSNSや通話記録、住民登…
「私は自分自身を殺しました。逮捕してください」 彼は警察署に突然現れ、そう告げた。 「自分を殺したなら、あなたはいまここにいないでしょう。我々もそんなにひまじゃないんだ。ちゃんと自分を殺せてから出直してくれ」 たまたま応対した刑事はウィットを…
私は犯罪を憎みます。 家族を一瞬で奪われたからです。 この世界はありとあらゆる犯罪に満ちています。 どんな事情や理由があっても、故意であってもなくても、犯罪は許されません。 償えばいいというものでもありません。 犯罪がいまこの瞬間にも起きている…
人間の罪の多くは煩悩から生まれる。 煩悩は肉体から生まれる。 肉体は五感に基づく。 肉体を喜ばせる感覚を満たす衝動が煩悩である。 愛の多くは煩悩から生まれる。 全てではないのがせめてもの救いだとしても、 それは綺麗事に過ぎない。 人間たちよ、それ…
その殺人事件の異様さは、容疑者が果てしなく増えていくことにある。 それはとても数え切れない数になっている一方で、全ての容疑者の嫌疑が一向に晴れない。 ありとあらゆるプロファイリングにもかかわらず、肝心の犯人像は空白のままだ。 中心に何も描けな…
言葉とか紙とか日記やペンやコンピュータや 記憶を補うものがいろいろと出てきたせいで 何を失ったのかさえ、いつのまにか忘れてしまうようになってしまった気がします ちょうどそんなことを考えていました。 わたしのこころのなかにある、 とても特別な場所…
幸せなこどもにも、そうではないこどもにも、とびっきりの笑顔になれる一瞬を届けてくれるサンタクロース。 来る年も来る年もずっとずっと、世界中のこどもたちにプレゼントを配ってきたけれど。 「今年はちょっと、疲れちゃったな」 そんなことをつぶやくも…
それでは、始めましょう。 あなたが、あなたの人生において、現在いる場所はここです。 ちょっと駅からは遠いですね。しかもかなり入り組んだ場所にいる。 まずは駅までは徒歩しかありません。がんばって歩きましょうね。 ここで決めるのは最寄り駅から目的…
物凄いスピードでガムを噛んでいるおばさんが僕に問いかけた 「人生という車窓の景色が嘘だったら」 僕は目線を上げて、スムーズに流れる車窓の景色を眺める 電車はトンネルを抜けて、少しずつ、地上が見えてくる おばさんは、つま先の破れた、口の開いた靴…
「すいません、買ってすぐに前に進まなくなっちゃって、そうかと思ったら、急に暴走し始めたりとか、細かい隅っこに落ちてた埃を必死になって取ろうとしていつまでもおしくらまんじゅうみたいになってたりとか、困るんです。すぐに直してもらえますか?」 「…
≪過去形≫ 終わったものは終わった ・最高にくだらない恋を意外とそんなにくだらなくもないわと自己暗示にかけるがやっぱり大したことなかったわと言って終わってみればさっぱりするパターン ・年甲斐もない、あるいは背伸びしすぎの、または身分不相応の素敵…
私はずっとあなたのそばにいたのよ。小さい頃から学校も一緒だったし、同じ会社に行って、あなたが結婚してからも、子供が出来ても、転勤しても、浮気しても、ずっと。私はね、あなたの周りの誰かに毎日かわるがわる乗り替わってたの。本人たちも気づいてな…
スマホの画面に小さな毛が落ちてる・・・たぶん睫毛だ・・・さっき目こすったし・・・とれない・・・なか・・・なか・・・あれっとれないほんとに・・・逃げるなっつうの・・・ってまだとれない・・・どうしよ・・・えいっ・・・ こんなふうに悪戦苦闘してい…
一歩、一歩、間合いを詰めていく。 瞬きの音さえも憚られる静寂。 息を殺す。 一発で仕留めなければならない。 急所を外すと泣き喚くからだ。 傷んだ獲物を仲間が助けに現れることはなく、ただ目を閉じて物陰に身を潜める。 自分のことでなければ構わない。 …
身代金を出さなければ、あいつにろくな未来はないよ。 たかが2億なんて、あんたにとっては何でもないはずだから。 幸か不幸か、あんたの懐具合は、よぉく知ってるのでね。 声など変えやがって、ふざけるな! お前のような卑劣な誘拐犯に出す金など一銭もな…
私は量販電機店の店頭で、ただ街ゆく人々の楽しげな姿を眺めています。 街はクリスマス一色。釣り合うカップルがいない理由をさっきから考えています。楽しいからじゃない、他に何もすることがないからです。 私はこんなに高性能なのになぜ売れ残ってしまう…
自動ドアを押す。読み取られた指紋か静脈パターンでidが確認され、b級日本人であると判別される。最近はハラールコンビニもあるのでこの判別は重要である。雑誌を立ち読みする。一冊につき5分の制限時間を超える。第三種軽犯罪として警察への報告ポイントと…
世界的な森林資源の急激な減少、製紙工場の必要とする多大な水資源、製紙工場からの排煙による大気汚染など、製紙業と環境破壊の密接な関係性が明らかとなっている現在、書籍・雑誌からオフィス文書に至るまで無駄な改行による紙資源の余計な消費を押さえよ…
30年前ぐらいでしょうか、傲慢な彼女にはついに仕事が来なくなりました。 しかし彼女は演じていなければ死んだ方がいいというような全身女優でしたから、演じ続けずにはいられなかったのです。 誰もが羨んだ美貌を捨て、全身整形をして、まるで別人になり…
「毎日同じ日の繰り返しはもううんざりです」なんて神様に苦情を言った私が悪うございました。お願いですから元に戻してください。なぜか徹底して一切の繰り返しが避けられてしまうこの毎日のヘヴィーさに私の精神がとても耐えきれるとは思いません。同じこ…
この世界に、人類に、もしも輝かしい未来があるというのなら、未来の誰かが私のこの指を止めるはず。 核ミサイルのボタンを押そうとする、超大国の大統領の、この指を。