Wakeupalicedear!

Shortest stories

enfant terrible

753

七五三だ?何で奴らだけがいい思いをするんだ?ふざけるな。 その狭間にいる我ら四歳、六歳の、この差別的な境遇は放置されてよいのか。 我らは奴らに宣戦布告する。 写真館で間抜けな家族写真などを撮っている【753】を目撃したら、容赦なく攻撃しろ。 …

ドミノ倒し

息子が昨日から部屋に閉じこもって何かしている。 「何してるんだ?」 のぞいてみると、部屋の真ん中に、うちが住んでいる高層マンションのかなり精巧な模型が置いてある。息子はそこから部屋を一つ一つ、積み木崩しのように抜き取っている。 「この模型が崩…

僕の一生の仕事

「おかしいですね・・・息子さんにはどこにも異常は見受けられないんですが」 「やっぱりそうですか。どこへ連れて行ってもそのように・・・」 「もうどのくらいこんなふうに反応のない状態なんですか?」 「・・・22、3年ぐらいでしょうか」 母さんそり…

無表情な少女

少女は最近ずっと無表情だ。 遠くを見つめたまま全く動かない。 両親は心配して医者にも連れて行ったが、 何の効果もない。 眠ることもない。 彼女はそれどころではないのだ。 負けたら人類が滅ぼされるのだ。 彼女は悪魔とにらめっこをしているのだ。

俺のせい

俺は人類の運命をかけた移住惑星探索の旅を任された最後の宇宙飛行士だ。地球に戻ってみれば、人類は死滅し、砂漠が広がり、海は枯れ果て、暴風が吹き荒れていた。 自宅に戻ってみると、エアコンと除湿器と扇風機が、つけっぱなしだったことに気づいた。 地…

私たちは嘘でできている

子どもたちはその純粋な目で、柔らかい心で、毎日嘘をつきます。 なぜかって? 本当のことはすぐに消えるからです。 わたしたち大人が目を逸らすからです。 嘘は消えずに残ります。 世界は、吐き出された嘘を異物としてそのままパックします。 焼却されない…

早く帰ってきてね。

動物は生き残るために感覚器官を進化させ、研ぎ澄ましてきた。 しかし人間はもはや切羽詰った生命の危険に晒されていない。 そのため、感覚器官が遊んでしまっているのだ。 結果、生きているという実感が薄まり、自ら命を絶つことさえある。 だから人間は生…

パパには内緒だよ

ママ。静かに息をとめてもいいいかなぼくにはどうしても我慢できないんだだってこの世界にはぼくがどれだけがんばっても見られない景色がある会えない人がいる知らない感情がある読めない本があるわからないことがあるそんな負け試合になぜ挑むのかぼくには…

だってみんなそうでしょ?

神様を信じることができるのは、神様を見たことがないからで、 神様を見たことがある人は、それを神様だとは思わない。 愛を信じることができるのは、本当の愛を知らないからで、 本当の愛を見たことがある人は、それが本当の愛だとは思わない。 結局、何も…

enfant terrible

あの子、5歳にしては美しすぎるわ。 今のうちにどうにかしておかないと、 成人になってからでは犯罪になってしまうから。 だって決めたんだものわたし。 だれもライバルのいない、圧倒的な女優になるんだって。 しかもあの子、私より3歳も若いんだから。