Wakeupalicedear!

Shortest stories

2014-11-01から1ヶ月間の記事一覧

Encapsulation of Love

Q&A

Q:IT業界に勤める三十代の女子です。最近、彼が何を考えてるか、全然わからなくなってしまいました。なぜわからなくなってしまったのかもわかりません。どうしたらいいのでしょうか? A:男女の愛情というものはIT的に例えて言えば公開鍵暗号のやり取…

人類分類アルゴリズム

「人類はかなり混乱しておったようだが、最近はどうかね?」 「インターネットのおかげでかなり整理できましたよ。ネットは多様化を促進するものと従来は見なされていましたが、実際のところはそうでもなかったですね。前世紀中頃にピークに達した後は、その…

動物愛護か猥褻か-”透明な家”が語りかけるメッセージ

この家を建てたのは、動物愛護団体幹部としても知られる人気女優である。動物園反対というスローガンを掲げることが目的だという。彼女によれば、動物の姿を見世物として公衆の目に晒すことは動物の尊厳を踏みにじる行為であり、許されることではない・・・…

通販生活で除言機を買いました

「わざわざ言うほどのことでもないけど好きに話していいわよ」 妻はそう言った。 これまで私は自由に話すことを許されていなかったのだ。 どうやら妻によると私の話した言葉の痕跡(残留物質)が家の中に埃のように漂い、 それが漂い続けている間はまともに…

女としてのこのうえない復讐

女は男に弄ばれ、無造作に捨てられた。 女は最期に言った。 「生まれ変わって復讐してやるわ。このうえなく残酷な方法で」 女は生まれ変わってかわいい男の子を生んだ。 女は男の子をこのうえない愛情で包み込んだ。 かつて恋人であった時よりもはるかに深い…

俺だけにわかるしるしがついた一万円

なけなしの一万円。 お袋の薬代にしようか、食費にあてようか考えた挙句、 あまりに腹が減ったので、食費にあてた。 お袋は一週間後、体調を崩して急に死んだ。 その一万円のことは一生忘れないようにと、 端っこに赤のペンでしるしをつけておいた。 俺にし…

人付き合い補助アプリ【WIS】

【名称】 WIS(わいあいえす、通称わいず、あるいは、うぃず) 【用途】 人付き合いが苦手な方のための、コミュニケーション改善、または訴訟対策。 【説明】 WISは、WHAT I SAID(わたしが言ったこと)の略。常時身に着けているスマホの利点を生かし、高性…

書き残そう、あなたの人生の物語

書き残そう、あなたの人生の物語。 たとえ誰にも言わなかった秘密が明らかになろうとも。 たとえあなたを愛してくれた人々の信頼を裏切ることになろうとも。 たとえ最愛の人にさえ幻滅されようとも。 たとえあなたが関わった人々の人生にとって唯一の汚点と…

観覧車の記憶

「なあ、お前。久しぶりに、あの観覧車に乗りに行ってみないか」 「え?」 「観覧車だよ。いつもふたりの記念日には乗ったじゃないか」 「・・・ええ、覚えていますとも。懐かしいわ」 「じゃあ、明日にでも行ってみるとするかな」 「ええ、どうやら覚えてい…

わたし、膨らんでます。

04:53 強い地震。ベッドから落ちちゃったけど、背面のみエアバッグ作動し、安全に着床。 07:15 トイレから慌てて出てきた彼とあわや衝突、前面のみエアバッグ作動。 08:20 満員電車で脂ぎったサラリーマンに押し潰されそうになり、全身脱臭エアバッグ作動。 …

離婚を成立させる条件

妻と話していて、わかるんです。 妻は、ここにはいないのです。 話しかけると反応はあります。 でも、心、ここにあらず。 いや、その表現も少し違うのかな。 他のことに気をとられていて、集中できないというわけではない。 一時的なものではなく、心の「本…

地球は何かの地図である

地球は、何か本当のものを歩くための立体的な地図でしかありません。 道に迷わないように、いま自分がどこにいるのかを確認するための地図です。 どこに向かっているかって? 決まっています。 誰ひとり迷子にならず、確実にそこに行けるのですから。

ココロのろ過装置

ココロをピュアにしたいと思いました。 通販でココロのろ過装置を買いました。 そのろ過装置は何層にも分かれています。 大きなココロのゴミは、大きな石の層で取り除きます。 主に、恨みと妬みです。 中くらいのココロのゴミは、中くらいの石の層で取り除き…

わが社の公用語は社長語になります

社員の皆様 日々の業務、お疲れ様です。 皆様にお知らせです。 いよいよ明日から、わが社の公用語が社長語になります。 まだ社長語が全く話せないという方には、転職をお勧めします。 習得には少なくとも十年はかかるといわれる難解な言語です。 上級職を目…

それはそれは見事な腕を持った長編小説家でした。しかしアルツハイマーになりました。長い話の筋や人物関係を覚えていられなくなり、書けば書くほど破綻していきました。そのうちに、主な仕事は短編小説になりました。その世界でも高く評価されました。しか…