「つまり君の中に小さい君がいて、君を操縦しているというわけだね」
「ええ、でも一人じゃないですけど。せぇの!パッ」
少年の左右の耳から一人ずつ、口からは三人顔を出した。
「5人なの?」
「まだいるけど、一度には出れない」
「ちょっとみんな、出てきてくれるかな」
耳から口からゾロゾロ出るは出るは。
「じゃあみんな座っててくれるかな。話があるんだ」
口々に「しょうがないな」と並んで座るやいなや、
分厚い医学書でバンッバンッとつぶされた。
「これで本当の君の人格が現れるはずだ」
ところが少年はカクッと首を垂れた。
「しまった。本物もつぶしたか」