Wakeupalicedear!

Shortest stories

こんにちは赤ちゃん

「やめてよ」

不妊症でした。ほしいのに赤ちゃんができなくて、ずっと悩んでいました。もうだめかなと思っていた時に、やっとできました。生まれてきてくれてありがとう。わたしは心からそう思いました、なのに...

最初は気のせいだと思いました。わたし、独り言でも言っちゃってたのかな?

でも、また聞こえたのです。

「なんで産んだの?」

他には誰もいません。一人きりになったときに抱っこしようと、待っていたのですから、間違いありません。だから、この子です。

彼女は目を閉じました。そして二度と開けることはありませんでした。

わたしは意地になっていたのかもしれません。そんなことがあるはずない。またもう一度。今度はきっと。

「また?」

わたしはもう驚きません。言うべきことは言わせてもらう。

「そうよ、何が不満なの?あなたが生まれたくなくても、わたしには子供をもつ権利があるのよ。それを邪魔しないでくれるかな」

「私にはわかるのよ。自分が恐ろしく不幸な人生を送ることが。だって見てきたんだもの、この目で。あなたにはわかってるでしょ。だって【自分】の人生なんだから。それとも、またこんなろくでもない人生を生きたいって言うの?自分の胸に問いかけてみてよ」

そう言って、赤ん坊のわたしは、ゆっくりと目を閉じたのです。