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自宅にいる時ぐらいずっと寝転がっていたい

地球の陸地の総面積は147,244,000k㎡。人口は7,222,300,000人以上なので、一人あたりで計算すると20,000㎡以上の占有可能面積ということになりますが、人間どこでも住めるというわけではありません。

一方、日本の面積は377,900k㎡、人口は平成27年1月1日現在の概算値で127,020,000人。一人あたりの占有可能面積は約3,000㎡。大規模小売店舗立地法では1,000㎡以上の店舗は大規模の扱いになりますので、かなりでかいと言わざるをえません。ちなみに坪で言うと900坪相当です。ビル・ゲイツが軽井沢に建設中と噂の6,000坪以上とも言われる別荘には敵いませんが、それでも超のつく豪邸な広さです。

さて、東京の面積は2,188k㎡、人口は平成27年1月1日現在の推計値で13,389,584人。一人あたりでは、163㎡、およそ50坪の占有可能面積となりますが、全部を居住用にできるわけでもありません。

では、今後、東京への人口一極集中がさらに加速した場合にどうするかですが、マンションの平均戸数を増やすのがいいでしょう。

東京都都市整備局が平成25年にまとめたマンション実態調査結果によると、

分譲マンション 53,213 棟に1,844,413 戸で平均 34.7 戸 

賃貸マンション 79,975 棟 に1,167,677 戸で平均14.6 戸

少子高齢化による老人の一人暮らしや晩婚化、離婚や引きこもり、高等遊民の増加などで一人暮らしが増えていることを考えると忌々しき事態です。仮にすべて一人暮らしになったとすると、分譲マンションには184万人、賃貸マンションには116万人ほど、合わせて300万人程度しか収容できません。今後開発可能な地域が残り少ないことを考えると、平均戸数の多い新築マンションを乱立させるしかありません。

そこでご提案したいのが、寝転がったまま生活する天井高50㎝のマンション。これならマンション一棟当たりの戸数が蜂の巣のように増やせます。延面積を減らすこともありませんので、ホームズやスーモのマンション広告にも特に支障はありません。

さて、このマンションの仕様をご紹介しましょう。床一面が防水モニターになっており、スマホもテレビも不要です。冷暖房もすぐ効きますし、部屋全体がドラム式の洗濯槽になりますので、シャワーも洗濯も乾燥もドライヤーも一緒くたにできます。どうせ料理はしないでしょ?妙に高さをとるベッドはやめてairweaveの一枚使いでいきましょう。新婚さんには密着度満点ですから飽きるまでどうぞやって。夫婦という関係性に飽きたら、反対向いて寝転がるだけで偶然にでも一切顔を合わさずに生活することも可能です。同じ空気を吸いたくないと言う場合は部屋の間仕切りも最高のコスパで可能です。そうこうしているうちにいつのまにかシニアになっても寝たきりにぴったり、死んだらそのまま部屋ごと棺桶に入れます。 

なお、建築基準法で定められている天井高は2.1mだそうです。身長2.1mの日本人がどれだけいると言うのでしょう。だいたい自宅でずっと立っていますか?自宅はくつろぎたい場所なのですから、寝転がるに足るスペースと、寝転がり状態を基本にした機能性が備えられていればいいのです。人間を人間足らしめる社会性は外で発揮すればよいわけです。

ところで、そもそも東京の人口集中問題ですが、東京が昨年6月発表した住民基本台帳による人口動態調査(平成26年1月1日時点)によると、前年比0.54%増。全国一ではあるのですが、驚くべき微増です。しかも増えているのは、中国人やインド人で、日本人で言うと逆に減っているそうです。ついに東京にまで来たのか人口減少時代。今後、地方経済がさらに破綻したとしても地方の子どもの数自体が減っていますから、地方から東京への人口流入もそんなに増えることはないかもしれないとすると、むしろ上記のご提案は、縮小傾向の進む東京ではなく、アジアやアフリカの新興大都市に向けたご提案とさせていただいた方が良いかもしれません。ゆとりある都市空間は喜ばしいことなのかもしれませんが、どこか寂しい気分にもなりますね。