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舞台に立つということ


演劇の都と言われる街に、役者なら誰もが憧れる小さな劇場がありました。

この劇場の舞台公演には、批評家、マスコミ、熱心な演劇ファンの厳しい目が注がれます。

再びこの舞台に立てるのは、ほんの一握り。

注目を浴びることのなかった大多数の役者は、俳優生命を絶たれ、二度と舞台に立つことはありません。

そしてその舞台で演じた役柄のまま、この街で生涯を過ごすことを義務付けられます。

ですから、この街を歩くときは気を付けてください。

ほとんどの人間が、何らかの常軌を逸した役柄を背負っています。

ただの役柄にすぎない架空の設定を、いつまでも自分自身として生きているのです。

 

ところで、あなたは何の役柄を生きているのですか。