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Wakeupalicedear!

最近はほとんどドラマの感想なんだけど、ほんとは短い小説を書くためなんだけど。

一言も聞き漏らさない地獄耳な松潤、耳の上半分だけ動かせる香川照之、『99.9』な奴らの名は耳族!

映画やドラマ、読書、音楽、デザインとか

あ、そうか、9って耳の形なんだ!耳に見えますよねこれとか。見えない?

 

 

 

GW到来でやっと落ち着いて溜まったドラマが見れて嬉しい、『99.9』の第2話、違うドラマなのかと思うくらいに変わりましたね、TBSには少し味付けし直すだけであれ?これって和食じゃなくってイタリアンだったの?っていうくらいにまるで違った料理に仕上げてしまうカリスマ料理研究家がいるのかもしれません。ヒット請負人的な。しかしたったの一週間でこれができるなら何で最初からしておかないのかも謎。しかし大胆。

 

法廷シーンがないことは誰もが気づく通り。もはや弁護士という設定は必然ではない。ほとんど刑事ですから。耳の利く刑事。『デカワンコ』という鼻の利く刑事は多部未華子。ちょっと変人なヒーローという設定はTBSというより日テレですね。

 

日テレ『世界一難しい恋』の大野智も変人という設定ですが別にヒーローではない等身大の不器用な男という意味ではこれまでの怪物くん路線からは外れていて恋愛模様以外に特にこれといった話はないことからするとむしろこっちが月9なのでは。

 

しかも、『ラヴソング』は恋愛模様というよりも、上京青春群像×失われた青春群像、輝きを失ったかつてのお台場的な夢の果ての現在形を描いて、月9というよりむしろ過去を振り返るのが大好きなTBS。

 

整理しますと。

 

TBS『99.9』→日テレ

日テレ『世界一難しい恋』→フジテレビ

フジテレビ『ラヴソング』→TBS

 

結果、こうなります。

 

フジテレビ月9『世界一難しい恋』

日テレ水曜ドラマ『99.9』

TBS日曜劇場『ラヴソング』

 

客層としてはむしろこういうことなんじゃないですか?

 

とはいえ見る側としてはどれがどこの枠だっていいんで、それはさておいて、何で『99.9』はリフレッシュして、『ラヴソング』は重くなったかを考えてみると、どっちも「音」へのこだわりが尋常じゃなく、しかしその使い方の切れ味で差がついたかなと思います。

 

『ラヴソング』ではライブハウスの天井窓をガラガラ開けるところから始まるんですが、これがバイクのエンジンをかけるような音に聞こえるんだけれども、この「引っ掛け」が何のためかわからない。そして、福山雅治に3か月後にステージに上がるんだよと言われながら藤原さくらがブーツでステージに上るときの音、もっと響かせてもいいのに、結構地味。というか、ちょっと戸惑う藤原さくらの顔とか見たいところだけど、あまりにもすんなり舞台に上がるわけで、福山の足元なのかと思うくらいな中途半端さ。常にブーツを履いているイメージがある福山にスニーカーを履かせているのもそう考えるとブーツを脱いでいるということはロックを諦めていることの象徴であって、いずれ彼もブーツを履き直すんだろうけど、藤原さくらのドスの利いた広島弁は今回も菅田将暉相手に炸裂したし、福山にも広島ファンだといっているのに黒田博樹投手を知ってるかと聞かれて「なめてんすか?」とジャブを放つところとか最高だったけど、出だしでつまづいている。

 

一方、『99.9』は出だしが秀逸。血まみれの風間俊介がとぼとぼ歩く足元が見えているのにカツカツカツという女性っぽい足音がしていて合わないなと思ったらザラザラ地面を擦るような音がしてその足取りと合ってくるんだけれど、すれ違う人が怖がっているところでパトカーが停まるブレーキの音が聞こえ、歩きスマホな女性がさっきのカツカツカツな足音だったんだと分かって足音の件に片がついたところで血が付いたジャケットそして血が付いた顔(これはあとで松潤香川照之も不自然な明らかに絵の具みたいな塗り方でパロディーすることになる)、パトカーが一瞬大写しになり、エンジン音が大きく響き、ロングショットになると小さくなり、そして一瞬音が消え、次のカットではパトカーのエンジンの音が再び近づいてくる。とぼとぼ歩くには夜中の商店街がベストな見え方。

 

この一連のシーンで、見ている人が風間俊介に近づいていく距離感で聞こえる音の順番でカットをつないでいて、たぶんそれが臨場感を生んでいるような気がします。見ている人はたぶん歩きスマホの女性ですね。

 

この女性の意識からはこうなります。

 

スマホの画面を見ているので自分の足音しか聞こえない→近づいてくる風間俊介の足音→パトカーの停まる音→何だろ?と思って見上げると血まみれの風間俊介→驚いて無音になる→近づいてくるパトカーで意識が戻る→「そこの人、ちょっと待って」という警官の声で、この非日常が現実なんだと認識する

 

ここからはもう事件です。

 

パトカーのドアの閉まる音、そしてリズミカルに走る警官(こんな軽やかな走り方をする警官はあまり見ない。だいたい警官というものはなぜかは知らないがナンバ走りのように摺り足で走る。拳銃を押さえながら走ったりするのであまり跳ねながら走ると拳銃が落ちるのかもしれない)の音に合わせて音楽のリズムが入り、風間俊介の両膝が地面に落ちるタイミングでまたパトカーのドアが閉まるような音がするが、もう一人の警官が降りてくるときにドアを閉める前にこの音が聞こえるし、その閉まる音はそれはそれでなっているので、謎の音。つまり本当はないはずのただの効果音かと思われる。

 

そして犯行を告白したあとに【request.02】という文字が出てくる際には血の雨が降ってくるかの如く上から流れ落ちるテロップはスロー再生するとアルファベットと数字で、99→01→02となっていて、効果音はタイプライターを改行するときのようなカラカラカラカラチーン。

 

そして画面が暗転してギュッと握りしめたような音のあとには間抜けた香川照之の驚き顔で「え?」です、しかもここで香川照之、耳が動く。人間では退化したはずの耳を動かす筋肉はその痕跡が残ってはいて、僕はもっと大きく動かせますけど、松潤だけではなく、こやつも明らかに耳族である。さらにそのあと、右頬もぴくぴく動かしたり。瞬きぱちぱちしたり、口を台形にしたり、顔芸のオンパレード。

 

全く一瞬も隙のない展開、チャンネル変えられないでしょう。

 

そしてまだまだ音はつながる。弁護士事務所のホールで響く声を聞かせてゴージャス感を漂わせた後に、岸部一徳松潤におごるサンドイッチをつまみあげるときの野菜がパリパリいう細かい音を出して、音のスケールのギャップを聞かせて、これからはどうでもいいトリビアな話をしますからね的な予告をしておいて、秘密の調味料ケースを取り出してからは、テーブルに置く音、ケースが転がって倒れる音、深山特製アイオリソース。。。アリオリ?ニンニクとオリーブじゃなくて?。。。がぶちゅぶちゅ出る音、またケースがひっくり返って、それを直す音、その合いの手を元タイガースで音感の良さは当たり前な岸部一徳が挟み込み、それこそサンドイッチ、ほとんどスティーブ・ライヒなプリミティブなミニマルミュージックが怒涛に展開する。

 

まだまだ。

 

香川照之が事務所に入ってくる足音、エレベーターの閉まりそうな音、そのあとに入ってくる榮倉奈々の足音、エレベーターの上に上がりますスイッチを苛立たしく叩く音、ピンポーンと到着する音、出てくる人ぶつかりそうになるが、相手も何も言わないままに榮倉奈々が駆け込む足音。ここまでセリフなし、均衡を破るのは「おはようございまーす、どうぞ(先に独りで行ってください)」という凄い通る声の榮倉奈々。「乗れよ」「大丈夫(です」」のですを食って「遠慮するな」「・・・失礼します」で、香川照之の閉めるボタンを押す音、「あ(めんどくさい人に押させてしまった)」と榮倉奈々も反対側の閉めるボタンを押す音。セリフは「あ」を含めても短いのが5つだけ、あとは音だけでこの二人の距離感をこんだけ描きますよ。どういうこと?

 

そして次に音へこだわり始めるシーンが始まる合図は、拘置されている風間俊介の話を聞きに行くタクシーの中で、いつも金払わせやがってとイラつく榮倉奈々がシートベルトを勢いよく引っ張ってガってなるところ5回も。聞かせます。

 

香川照之、最初に挨拶する前に、スーって息を大きく吸う音を聞かせるのですが、「・・・です」のすの音が2回言って2回とも摩擦し過ぎ。慇懃無礼というやつでこっちも苛立ちは明らか。「どうぞ、ホッ、ハー」「え、では、スッ」っていちいち息が荒い。その反対にこのあと、事件の顛末を聞いたあとに、質問を畳みかける松潤は呼吸音全くなしの無酸素運動。これが引き立つようにの香川照之の伏線とは。そして怒った香川照之の「ちょっと来なさい」と松潤の「ちょっと行ってきます」の二人の「ちょっと」の言い方がきちんと揃うことでちゃんとオチがつく。

 

事務所に戻ってきて、迎える渡辺真起子が手に持つコンビニ袋のカサカサ、片桐仁は証拠書類を入れた段ボールを乗せた台車を引きずり、風間俊介の話をまとめたノートを文字起こしすることになる片桐仁がパラパラめくる音、松潤が台車を向こうに運んでいく音、机の上にスペースを開けるために積んだ本を机の下にポンと置く音、「深山先生何してるんです?」と聞いてしまったがために手伝ってくれと返され「オウオウオウオウオウオウオウオウ・・・」とめんどくさいので数えませんけどドップラー効果で後ずさりしていく名前が分からない脇役の人まで「やりたくない警報」を発するというチーム一丸さ。

 

と、もうきりがない音の凝りよう。というか、音を作るために画を作っていて、音と音の合間を埋めるために人がしゃべっている。話自体は、99.9-35.9=64 つまりロクヨンです。事件というものは警察的に片がついても当事者の間ではいつまでも終わらないものなんだよその恨みもねという、同じTBSですから。しかし前後編に分けるほど引っ張れる話なのかな。一本の映画の予告にしか見えない。

 

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主題歌は小田和正。今年46年目。2016.4.20発売。6と4だらけ。68歳7か月でオリコン最新アルバムチャート堂々1位って矢沢永吉の63歳8か月を抜いて史上最高齢記録樹立。輝かしいね。アルバムタイトルが「あの日 あの時」。TBSなのに東京ラブストーリーか。

 

そして現役月9のほうは、リアルな吃音とハートフルな歌声で藤原さくらが奮闘する『ラヴソング』、桁違いのポテンシャルを秘めていますが、さすがにひとりでは『99.9』の完成度とは戦えないですよ。フジテレビには特製調味料ケースを抱えたカリスマ料理研究家はいないものか?

 

そして、耳の鋭いといえば、広瀬すずの『ちはやふる』。今日公開の後編をさっそく見てきましたが、前編とはまた一味違う感じで見ごたえあり。こっちは逆に音を消す感じでした。究極に集中した瞬間、たぶん音も消える。前編は聴覚の鋭さを武器に驚きの強さを発揮するところがクライマックスでしたが、画面がストップモーションになると音も消える。そしてまた一気に動かす、音も戻ってくる。

 

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テーマ的にはチームワーク。ひとつにつながる。ほとんどワンピース。あちこちで音をラグビーのパスのようにつないでいく『99.9』もそうだけど、みんなつながってなきゃいけない、つながっていたい時代。手がつながるビジュアルをつなげたこの予告編のとおりの感動を味わえる。

 

 Perfumeの主題歌のMV、ファイティング系でかっこいいです。広瀬すずにもぜひ一緒にやってみてほしいものです。

 

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