Wakeupalicedear!

最近はほとんどドラマの感想なんだけど、ほんとは短い小説を書くためなんだけど。

愛じゃなくても恋じゃなくても君を離しはしないと誓った(わけではない)『ラヴソング』、藤原さくらの異次元な手の動きを見逃すな

2回目の『ラヴソング』について書かなきゃって思ってたら、もう木曜だ。

 

「どっかにダイヤの原石みたいなやつ、転がっていないかな」

 

って宇崎竜童はつぶやくんだけどそんなもの、しょっちゅう転がってるわけないだろ。

 

ブルーハーツの『リンダリンダ』。

 

ドブネズミみたいに美しくなりたい

写真には映らない美しさがあるから

 

 て、歌ってたけど、

 

いまでこそクソみたいな歌詞だってその辺に転がってるけど、

当時は歌詞で「ドブネズミ」とか歌ってしまうなんてありえなかったんだから。

 

藤原さくらを探しに来た福山雅治に木下ほうかはこう言う。

 

「あいつだったらその辺にモグラみたいに潜ってますよ」

 

まさかドブネズミみたいに這いずり回ってますよ、とは言えないからね。

 

リンダリンダ』は、ただリンダを繰り返すだけじゃなくて、こんな歌詞が続くんだ。

 

愛じゃなくても恋じゃなくても君を離しはしない

決して負けない強い力を僕は一つだけ持つ

 

これ、リアルタイムで聞いた当時、決して負けない強い力ってなに?と思ってたけど、いまもやっぱりわからない。

 

昔、分からなかったことっていつまでたってもやっぱりわからないまま。

 

『情熱の薔薇』という曲では、

 

なるべく小さな幸せと なるべく小さな不幸せ、

なるべくいっぱい集めよう そんな気持ちわかるでしょう

 

て、そんな気持ちわかんないよと思ってたし、やっぱり今もわからない。

でも、なんか泣けてくる。すごい歌詞だなこれいまさらだけどいまだから。

 

たぶん、『ラヴソング』のテーマって、この「強い力」のことなんだろうという気がする。じゃあ実際何なのかはわからないままだけど。

 

『歌』?

 

真美、なんか、言ってた?

 

て藤原さくらが喧嘩した夏帆のことを菅田将暉に聞くんだけど、「?」がない。

最後のイントネーションが上がってない。疑問形じゃない。音的には。

ありえない。

だってこう書いてあったら、100人いたら、100人とも最後を上げるでしょう。

まるで無視。音程を狂わすことなんてありえない音感の塊のような彼女が。

でもちゃんと疑問に聞こえる。それはさりげなくすごいこと。

聞いてない。でも、心配してるんだっていう。そういう気持ち、伝わるんです。

 

それと菅田将暉君が『情熱大陸』で披露していたようにたぶんリアルにお友達と作った首周りのカッティングがオシャレなパーカーに見え隠れして気づきにくいんだけど、「言ってた?」の「い、い、い・・・」のタイミングに合わせて藤原さくら、人差し指を小刻みに突くんだけど、言葉の発生って指を自由に動かせるようになったことで脳が発達したことと連動しているから手は第二の脳って言われるぐらいで、そんなこと藤原さくらは知らないだろうけど、天才。

 

そのあと「うちのじゃろがいや!」と聞いたこともないけど広島弁だということははっきりわかるソウルフルな発言をもってもやしな菅田将暉から奪い取ったギターを背中に背負ってバイクに乗りながら始まった第2話、工場で様子を覗きに行っていないかと思った福山に声をかけられ、くわえタバコを右手で慌てて取ろうとして落とし、こんにちはへの返事に猛スピードで左手で首を触り、胸の前で十字を切るようにして、右胸に。完全に意味不明。いくら動揺したからって完全に意味不明な動きができること、天才。

 

で屋上に出て、タバコを吸おうとして、福山の接近を察知し、タバコを隠す手は、今度は左手。出たよ、シンメトリックな両利き。ドラマーなら得しただろうにでもあえて言うなら彼女はギタリスト。親指をもじもじしながら、「タバコ吸う女って嫌じゃないですか」ってまた語尾を上げない。ここで決定、確信犯的に上げていないけど、福山に吃音矯正レッスンにもう一度行かないか、もちろん一緒にと言われ、喜びを隠せず、しかしロッカー室で鏡を見て、武骨な上着を脱いでチェックのシャツになって、シャツの前見頃をつかむその右手は親指と小指だけが外に広がり、他の3本の指は揃って真ん中にいう、エレガントな掴み方。だって女の子だもの。

 

そして福山に立ち食いそばをおごってもらい、吃音が気になって楽しみたい注文ができずにいたけど、福山と同じものでも食べられたのが意外とおいしく、外はまだ寒くて革ジャンをかけてもらい、それを歩きながらちゃんと袖を通そうするその合間に、腰のあたりにあるバッグに左のてのひらを指を広げて一瞬そっと置く。それはまるでギターを弾き始めるときのよう。たぶん心の奥のどこかで音が弾んでいたのかも。

 

そして水野美紀に今日あったことを、気持ちを、歌詞にして替え歌を作ってみようと言われ、

 

藤原さくらの筆談 「慌てたんで 同じのを頼んだら」

 

水野美紀 「頼んでくんなかったの?」

 

で、藤原さくらは恥ずかしそうに微笑んだあと、後ろにいる福山雅治を見ようと振り返るのだけれど、彼女は福山がこっちを見ないのをわかっているんだけど、それでも左肩をぐっと入れてまで体をねじってしっかりと振り返る。それでまた少しずつ戻すんだけど、一気に戻すのではなく、少し動いてはブレーキをかけて、また緩めて、という複雑なギアチェンジを11段階ぐらいかけながら戻していく。この一連の動きだけで、彼女の真っ直ぐすぎる思いが切ないほど伝わってくる。

 

ボールペンを握っていた指、人差し指と親指を、内側にギュッと握りしめる。

 

7秒の勇気を持てれば

私もきっと注文できる

 

その先に書こうとした思いは何なのかはさておき、歌ってみる前に、コーヒーを飲む右手の左手は指揮するようにリズムを刻み、それがレフトスタンドからバックスクリーンを挟んだライトスタンドへのウェーブみたいに右手に伝播する。これほんとに曲に合うんだろうか?と確かめているかのように。

 

歌はもう素晴らしいんだけれどそれは先週も聞いたから知っていてそれにしてもハムカツコロッケそばに本当にたどり着きたいのか?

 

別れ際、バスに一度は乗り込んださくら、去っていく福山の背中を見ながら、口元がもぞもぞ動くのだ。モグラみたいに。思いが溢れてる。バス運転手にどうしました?って言われたらもう降りるしかなくて行けって言われてるみたいでGOサインみたいで駆け出して、靴ひもがほどけて福山がかがんだもんだから、後ろから抱き着くはずのところが、倒れこみ変型捻じれ式スープレックス崩れでまるでプロレス。福山が一回転しきったタイミングでバスが通り過ぎるという奇跡の瞬間が訪れる。

 

「歌いたい!」って心の叫びが声になる。強い。

 

そのときの藤原さくらが福山の右腕に伸ばした左手は慈悲を請うかのように握ることなく軽く添えられるだけで、引き戻した時に左手は、小指から人差し指へと順番に握りしめられ、何かを包むように閉じられ左の膝の上に置かれ、右手は一生懸命に右の膝を叩きながら、

 

「私、歌いたいです。でも、怖いから、先生が、ギター、お願いします」

 

そう震える声で一生懸命言いましたよね。

 

もう泣きそうです。

 

そこで「ゴメン」とあくまで軽い福山。全国何万人が心の中で福山を殴り飛ばしたことでしょう。しかも、靴紐直しながら、だよ。彼女は靴紐以下かよ。そしてまたひとりつぶやくしかない藤原さくら。あー腹立つ。

 

そしてついに彼女を追いつめる事件が起きてしまいます。大したことじゃなかったんだけど、それでも追いつめられるんです。大したことがなかったからこそ。

 

一秒だってできてない。ダメなものはダメなんです。私じゃ意味ない。何の役にも立てない。

 

このとき、ブルーハーツが歌ったように、心のどこか奥のほうで、涙が流れていたのでしょう。もう、藤原さくら、歌うしかないですね。

 

そして何をどう思ったかはよくわからないけどエンディングに間に合わせるように心を入れ替えた福山もまたモグラになり、職業柄、相手の目線の高さにとりあえず合わせたふりなんかせず、周りの人たちの足元を見て嘲笑い、一緒に世界の見え方を変えてみようと、コンテストに誘い直すのです。トラックの下でまるで頬を寄せ合ったり顔が重なり合ったりと一種のベッドシーンのように見えるようにカメラのアングルが計算されつくした撮り方、かなりエロいぞ。そして高らかに響く藤原さくらの、こんな甲高い声が出るんだな笑い声。

 

腹黒いと罵倒されて形無しの福山が見下ろす先で笑ってる口の周りが押さえた掌で汚れないように閉じた手の側面を当てている彼女はもう恋をしているからだけど腹の底からしっかりと出す高らかな笑い声は体の内側の筋肉全てを震わせているからこそ。クソみたいな世界でも生きていきたい。だったら笑い飛ばすしかないんだから、どうせなら思いっきり笑えってことか。相変わらず福山は男前の笑いだけど、彼女がきっと何とかしてくれるはず。