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Wakeupalicedear!

最近はほとんどドラマの感想なんだけど、ほんとは短い小説を書くためなんだけど。

『重版出来!』がまさかの事態に!名優黒木華が土屋太鳳のパロディーになってしまうとは

今回事前に原作マンガも読んでみたが『重版出来!』、黒木華自身がいちばん『重版出来!』だよっていうのはみんな書いているんだろうな。やっぱり本屋大賞、何だかんだ言って又吉を選んじゃったりするんだろうなと思いきや宮下奈都が、「過去の受賞者を見ても知名度の低さは抜群。初版も少ない本を選んでくれました。私の勲章と思って、奇跡みたいなこの夜を忘れずに生きていきます」という、手嶌葵の『明日への手紙』のような感動的なスピーチをしたその夜に。主人公の名前は黒沢心、下のほうが「ハ」の字に広がるような漢字だらけ。字面的にどっしりと安定感のある名前にしたのね柔道だし。

 

流れに呑まれがちな気の弱い女子の成長物語『リップヴァンウィンクルの花嫁』とは裏腹に、黒木華はこの若さでこの堂々としたベテラン感。吉田羊のほうがまだ新人感が残っているぞ。しかも決して美人でもないわけでそれでいてそれだから生半可な胆の座り方ではないのは言わずもがなで、それでもですよ、元気のいい新人編集者というのは26という歳からすると普通にキツイだろうし、彼女の演技力をもってしても隠しようはなく、さすがに開き直ったかな?

 

だからって、土屋太鳳のまねをしている?まさか?だって超のつく売れっ子同士だよ。前代未聞じゃないか。

 

いくら京都の大学で演技を勉強していた日本では珍しいアカデミックな演劇畑出身だからって日本体育大学出身の主人公を演じるにあたり日本体育大学在籍の(卒業できるとはとても思えない忙しさだが)ゴーグルをかぶってしまうので代役が滑ってても問題なかったんじゃないかという天才スキー選手を演じたWOWOWのドラマ以外には類まれなる運動神経を発揮する機会はシーアのMVぐらいという土屋太鳳が演じたらどうなるかっていうのをやりつつ私はもうちょっと場を和ませられるしって少しアレンジしてみましたっていう感じ。それはそれで編集者的な仕事ではあるけどなんだろうその役との距離感は。具体的には・・・

 

わたしは周りを蹴落とすんじゃない。

10人に、選ばれる。

 

このセリフ、これはどういうふうに言ったって土屋太鳳に聞こえる。こういう文言自体がいま土屋太鳳のものになってしまっているので、これはもうどうしようもない。

 

www.youtube.com

 

呼ばれて「はい!」と返事する声。

 

これも似ている。となると、声が似ているのか。普段の声が小さいのも同じだが。そして一回、ふっと小さく短く息を吐く。これは体育会系の基本。ただしそのあと、口が閉まってないのは中途半端だった。そこでは唇は一文字に締めて、腹式で胸を大きくしたまま歩き出さないと本当の気合は入らないはず。

 

そして歩く姿勢。

 

両肩を後ろに目一杯下げ、骨盤を開きながら股は内側に締めてガニ股すぎないガニ股を保つことで体躯の幅を出しながら、上半身を腰に乗せて歩いているところはなるほどだけれど、整骨院的に言うと黒木華、右肩が左に比べて少し上がった姿勢が癖になっている感じで、そのせいで歩くとき軸が前後左右にぶれている。オフィスチェアがどっちの方向に向かっても背もたれはそのままに水平移動するような柔道選手の左右対称な歩き方ではないし、曲がる際にも、どうせなら真っ直ぐ歩いて一旦止まり、90°方向転換した後に、また歩き出すというような不器用さがあってもよかったルンバみたいに。立ち上がったときに、ぴょんと小さく飛ぶとかまでやるとさすがにやりすぎだろうけど。

 

面接室の中。

 

「相手が息を吐くと同時に仕掛ける」というのは、相手の体から力が抜けるタイミングを狙うということで、柔道では正しいのだろうけど、二つ間違いがある。

 

 「なぜ出版関係を志望なさったのですか?」って言ってみたらわかるけど、これを言った後には息を吐かず、むしろ止めるはず。質問の後に息を吐こうとしても、「なさったのですかあー」と声が伸びてしまうか、一旦止めた後で無理やり吐くしかない。原作では吐かれた息が描かれているけど、ドラマでは面接官の口元をアップにして音を聞かせなかったのはそういうことでしょう。どうしてもそのタイミングを狙うなら、質問の後には息を止めるので、そのまましばらく待っていれば、質問者はそのうち息を継ぐはず。そこまでゆっくり待って、面接官が待ち切れずに息継ぎをする瞬間を狙ってしゃべり出せば自然と話に吸い込まれていくかもしれない。

 

気持ちのいい会話というのは呼吸のリズムを合わせること。だから、質問者が息を吐くところで、質問される側も答え始めれば、同じ呼吸で息を吐くことになる。のに。

 

 ドラマではだから、黒木華がただ食い気味に答え始めているだけに見えてしまっている。そしてそのあと質問をした面接官に、「熱弁をふるわれてもねえ、」と言われてもいるので、空気を読まないやつという感じの流れになっている。しかし黒木華の熱弁の説得力がハンパないので、場の空気がいったいどっちなのか、解釈しづらい。原作のファンを大事する姿勢を問われるのでしょうから、いろいろと気を使うんでしょうけど、説得力の作り方がマンガとドラマでは違うんじゃないかなとか思ってしまうので、やっぱり原作は読まないほうがドラマは素直に楽しめるな。次からはやめよう。

 

面接の続き。

 

 「漫画のキャラクターの名前が海外で通じるんです。感動しました!」

 

この「感動しました!」は特に土屋太鳳がかぶった。土屋太鳳はけっこう声がうわずるときがあるけど、ここで黒木華、「ま」と「た」のア音が半音上がる感じがそっくりで🎼感動しま#した#。

 

そして、実は清掃員に化けていた社長の高田純次(原作では三枚目感なし)がほうきを持って乱入してくるのを黒木華が投げ飛ばすのだが(確かに高田純次ならやりそう)、腰を落として相手の体を腰に乗せて跳ね上げるという一本背負いのはずが全く跳ね上げてないので、実際に腰が悪くて治療に通いながら笑顔を維持しているという適当男の真剣な悩みを情熱大陸で晒してしまっているだけに、あれでは受け身の取りようのない腰痛持ちには致命的な落ち方をしてしまいますね。社長、再起不能です。押さえ込む黒木華リクルートスーツだけに不自然に曲がった足のラインがエロく映ってしまっているのはさすがに狙いでしょうけど、そうか、あれが合格ポイントだったのかもしれない。「しゃっ・・ちょう????」という黒木華は確かにこの回最高にかわいく映っている。

 

と盛り返しつつも、やはりもう土屋太鳳の顔しか浮かんでいないのでこのシーン、彼女だったら切れ味鋭い一本、決まってただろうなと。投げた後には押さえ込んだりせず、左手で倒れた相手の右手を軽く持ったまま、仁王立ちして、ふーっと大きく息を吐きだすだろうなと。意識は畳の上に飛んでいて、「ワ~!」という歓声が響いたところで我に返り、「社長!」という声が聞こえてくるとか土屋太鳳バージョンが脳内にパラレルワールドで展開する。

 

さて、現実に戻る。小日向文世演じる漫画界の大御所、三蔵山龍の自宅兼アトリエを訪れたとき。

 

「がんばってくださいね!」

 

この独特のイントネーションが、声の感じがまたもや土屋太鳳にそっくり。土屋太鳳は東京・世田谷出身にしては不思議なイントネーションがあり、ふつうは、「ください」は平板に言って最後の「ね」だけ少し上げる感じだと思いますが、彼女の場合、「く」から一気に上昇し始め、裏声になりかけながら「ね」に達して、というより「ねっ」で、「ねっ」というときの「っ」が少しハスキーで、ここもそっくりすぎるほどそっくり。黒木華にぞっこんなムロツヨシがリアルに喜んでいる。なんだこれ。この男子というかおっさんの胸キュンを引き起こす技を移植したのではないか。黒木華=ミスティーク(X-MEN®)説。

 

とはいえ、このあとの黒木華はさすが。原作にない部分を足し過ぎて間延びした話を何とかもたせるのは彼女だからこそ。土屋太鳳ではまだ無理だったでしょう。しかしちょっと長いかな、原作の削ぎ落とし感からすると。この間延び感は次回以降苦しくなってきそう。やっぱり原作を先に読むのは考えものですね。黒木華はもちろん、周りの共演陣は超強力、間違いないだろうけど、その分、安定感ありすぎともいえる。あとはもう一人の主役、坂口健太郎が化けるかどうか、「重版出来」かどうかはそこにかかっていそう。