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Wakeupalicedear!

最近はほとんどドラマの感想なんだけど、ほんとは短い小説を書くためなんだけど。

【結末予想というより勝手に自分で書いた最終回のシナリオ】『いつかこの恋を思い出してきっと(僕は)泣いてしまう』

映画やドラマ、読書、音楽、デザインとか

有村架純はどっちを選ぶか結末予想!とか公式サイトでやってるようですが、こうなればいいなとかこうなるしかないだろうとか考えていたら登場人物たちが頭の中でしゃべりだしてしまい、勝手に書いていいものでもないんじゃないかと思いつつシナリオみたいなものを勝手に書いてしまいました。マンガの世界では同人誌とか結構こういうことをしている人がいると聞きますがドラマではどうなんでしょう。素人の書くものですし、なんだこれって感じですし、期待の高まるドラマ最終回の前に変なイメージが頭に残るといけないので、もし読まれる場合はそのつもりで読んでください。結末予想の一種として大目に見ていただければ。タイトルにはあえて「僕は」をつけています。書いてみて思ったのですが、この「僕」は、主人公の高良健吾でも、有村架純でもなく(僕ですし当たり前ですが)、西島隆弘だったんだなと思いました。あんまり言うと、自分で書いた話の「ネタバレ」になるので、取説は以上です。

 

********************************

 

ヒナソウに話しかける幼い頃の音(有村架純

「あんな、お年玉返すから、お母さん、返してほしいねん」

 

ぬくっと現れる林田雅彦(柄本明

 

(いまの音の声)

「忘れてたわ。あのとき、私、神様にお願いしてたのに。

お年玉、返してもらわれへんかった。

お母さんも返してもらわれへんかったのに、

どこ行ったんかな。お年玉」

 

画面真っ白に

 

朝日に照らされた音の顔

目は閉じられたまま

全くの静寂

うっすらと聞こえてくる井吹朝陽(西島隆弘)のささやく声

 

「今日も、朝が来たね。今日は、暖かい日になりそうだね。外にはね、いっぱいの花が咲いているよ。いろんな色。とてもきれいだから、君に見せたいと思ってね。摘んできたよ。花瓶に挿しておいたからね」

 

微笑んでいるように見える音の顔

 

「やっぱり買ってきた花とは違うよね。誰かが育てた花は、どんなふうに育てられたのか、僕たちは知ることができない。野に咲く花もそうだよ。でもね、誰も気に留めないような道端にひっそりと咲いている花が、どんなに頑張って生きてきたのか、僕たちは想像することができるんだ。それは神様が人間に与えてくれたとっても大切なちからなんだよ。夜空に輝く星のように、どの星も同じように見えたとしても、みんな一生懸命まばたきして、何かを伝えようとしているみたいじゃない?そんなふうに見えるよね。花も、星も、僕たちも、きっと同じなんだよ」

 

変わらない音の表情

 

「僕の思いも君に届くと、いいな」

 

音の右手を両手で優しく包むように握る朝陽

 

タイトル

『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』

 

「おい、待てよ!」

 

逃げる内藤(葉山奨之)

追いかけて陸橋の階段を駆け上がる男たち

追う明日香(芳野京子)と音

 

もみ合いの中、押されて倒れそうになる明日香

音、助けようとして手を伸ばしたが空振り、足を踏み外し、倒れ、頭を強く打つ

散らばるバックの中身

 

119番に電話する男

「・・・もしもし、救急車お願いします!」

 

呆然とひざまづく明日香

 

「道を開けてください!」

 

駆けつける救急隊員

 

「この方は?」

 

「わかりません。会ったばかりで・・・でも、これ、この人のバッグ」

 

受け取る救急隊員

 

「急げ!」

 

走り出す救急車

「すぐですからね!頑張って!」と話しかける救急隊員

鳴り響くサイレン

去っていく救急車を見つめる明日香

 

音が倒れた現場に戻る明日香

そこに内藤が立っている

 

内藤を殴る明日香

 

「あんたのせいやからな!あんたの責任やって言ってんの。わからへん?」

 

内藤が手紙を差し出す

 

「あほちゃう?何でこんなときに手紙なん?」

 

「いいから」

 

封筒から手紙を出して読み始める明日香

 

「行くで!」

内藤の手を取り、走り出す明日香

 

「警察?」

「自分、ほんまにアホか?あの人の病院や!」

「でもどこかわかんないじゃん」

「とにかくサイレンを追っかけるんや」

 

病院の急患入り口に到着する救急車

迎える医者と看護士

「頭部に挫傷あり。階段で落ち、強打したようです。意識がありません!」

ICUに運び込まれていく音

 

音のバッグを調べる看護婦

スマホを取り出し、通話記録から練の名前を見つける

 

病院からの電話を受ける練

「え・・・」

言葉を失う練

「どこですか?」

 

朝陽にかかってくる電話

「曽田です。あの、杉原さんが・・・」

 

タクシーに乗り込む朝陽

「すいません急いでください!」

 

病院の廊下

駆けつける朝陽

先に来ていた練と木穂子(高畑充希)、船川玲美(永野芽育)

木穂子が声をかける

「みんな練君から連絡もらって」

 

「音ちゃんは?」

 

「まだ意識、もどらないみたい。よくわからないの」

 

「何で・・・」

 

うなだれる練

 

練の胸ぐらをつかむ朝陽

「君のせいじゃないのか!君が・・・」

 

つぶやく木穂子

 

「しっかりしなよ。音ちゃん、いま頑張ってるんだから」

 

「・・・」

 

「いまわたしたちにできることは、音ちゃんのために祈ること。それだけなんだから」

 

泣き出し、両手で顔を覆う船川玲美

 

天を仰ぐ3人

 

 

刻々と進んでいく時間。時計の針が時を刻む音が大きく響く

 

 

キュッキュッと響くスニーカーの足音

現れる明日香と内藤

 

「あの・・・杉原音さんの・・・?」

 

答える木穂子

「ええ・・・どういった・・・?」

 

「あの、私を助けてくださったんです。杉原さん。置き引きをしてしまったこいつのせいで騒動になって、階段から落ちそうになった私を助けようとして。田舎から出てきたばっかりの私に優しくしてくださって、なのに・・・。あんたも謝り!」

 

「彼女、いつも自分のことより人の心配ばかりでね。きっと大丈夫、心配しないで」

 

つぶやく朝陽

「大丈夫だなんて、よくそんな気休めが言えるよね」

 

「あのね!」

 

「あの・・・」

手紙を差し出す明日香

 

「これ、杉原さんの書いた手紙です。大事な手紙だと思うんです。私みたいな他人が渡すべきじゃないと思うんですけど」

 

戸惑う練を見て、そのあと、ゆっくりと朝陽を見つめる木穂子

朝陽が手を伸ばす

 

「・・・でもこれ、読んでいいのかな」

 

じっと見つめる木穂子、そして練

 

「僕に読む勇気があるのかな。それに・・・」

 

木穂子が促す

「それに?」

 

「僕に宛てた手紙なのかもわからない」

 

内藤が突然口を挟む

 

「その手紙は、」

 

「やめとき!」

明日香が小突く

 

木穂子が受ける

「そうね、それは彼女の手から、その手紙を宛てた人に直接渡した方がいい。そう思わない?」

 

ICUから出てくる医者

 

「先生、どうなんですか?」

尋ねる朝陽

 

「命に別状はありません。ただ、意識が戻りません。脳への影響は明日以降、改めて検査することになります」

 

去っていく医者

看護士が言葉をつぐ

「まだ予断を許さない状況ですので今日はこのままICUで様子を見ます。みなさんは一度ご自宅にお帰りください」

 

看護士も去っていく

 

堪えきれず泣きじゃくる練

肩を抱く木穂子ももらい泣く

 

CM

 

病院の外観に「一か月後」の文字

音の病室を訪ねてくる練

 

朝陽と話している音

 

「あ、どうも」と練

 

「どうも」と返す朝陽

 

「元気そうで・・・」

 

「あの・・・失礼ですけど、どなたでした?」と音

 

「・・・曽田、練と言います」

 

うつむく朝陽

 

「曽田さんだよ、昔の友達の」

 

「わたしの?」

 

「そう、音ちゃんの」

 

「音って私の名前?」

 

「杉原音。もうすぐ井吹音になる・・・はずだった」

 

目を伏せる練

 

「曽田さん?・・・いまなかなかいい目の伏せ方でしたよ」

 

動揺する練。

 

初めて二人で行ったファミレスの風景が脳裏によみがえる。

 

(再現)

「いまなかなかいい目の伏せ方でしたよ」

笑い合う二人

 

練、現実に戻り、「ありがとうございます」と答える

 

ベッド脇のテーブルの上にあの手紙が置いてある

そこに視線をやる練

 

「それならまだ読んでいませんよ。何ならあなたが先に読みますか?あなた宛てかもしれませんし。まあもうどっちでもいいんですけどね」

 

沈黙を破って音が話し出す

 

「あれ、誰の書いた手紙?私、手紙なんか書けへんで。まだ、学校も決まってないんやし。お母さんにお願いしとかんとあかんな。早いこと学校行って漢字とか覚えへんかったらお手紙も書かれへんし」

 

病院の屋上

 

「だから言ったでしょ。音ちゃんは、ただ記憶がなくなっただけじゃない。いろんな記憶が混ざりあってしまっているんです」

 

「・・・」

 

「若年性認知症。だそうです。そんなによくある病気でもないけど、そんなに珍しくもない。頭部への激しい強打が原因で発症することもある」

 

「・・・」

 

「僕はこう見えて認知症の療法士を目指していたこともあったから。でもね・・・」

 

遠くを見つめる朝陽

うつむく練

 

「何かを思い出せそうで思い出せないことほど苦しいことはないんですよ。強い思いを寄せたものほど、自分がそれを思い出せないことが許せなくなる。僕たちはもう十分すぎるほど彼女を苦しめた。そう思いませんか」

 

練のほうに向き直る朝陽

 

「もう会いに来ないでもらえませんか」

 

CM

 

柿谷運送の先輩、佐引との昼休み中の練

 

「そっか。それはツラいな。『もう会いに来ないでもらえませんか』。俺もずいぶん言われたよ。俺の場合は恋人じゃなくて息子に会うなって話だけどな」

 

「・・・」

 

「お前の場合も恋人じゃないか・・・そう言えば会津に帰るんじゃなかったのか。大根の種がどうとかって言ってたよな」

 

「じっちゃんの撒いた大根の種・・・」

 

「収穫するんだっけな。行って来いよ。お前だってつらいだろう。人間、時々気分を変えないとやってられないぞ」

 

「そんな資格、僕にはないです」

 

「人が生きていくのに資格も何もないんだよ。生きていりゃいろいろあるさ。後ろ振り返ってばかりじゃ明日は来ない。違うか?」

 

 

音を見舞いに来る市村小夏(森川葵)と中條晴太(坂口健太郎)

 

「こんにちは・・・」

 

音、丁寧に会釈する

「こんにちは」

 

「あのぉ、市村小夏と言います。こいつは中條晴太。恋人同士でもなんでもないですけど、一緒に来ました」

 

「なんか変だよ。そういう挨拶」

 

音、「ふふ」と笑う

 

小夏、「あはは」と笑う

 

 

帰り道の小夏と晴太

「なんかつらかった」

「だね」

「晴太は私がいなくなっても私のこと、ずっと覚えてる?」

「・・・」

「ごめん」

「音ちゃんに謝りな」

「練もつらいだろうな」

遠くを見る小夏の横顔をさみしそうに眺める晴太

 

 

喫茶店に入る朝陽と練

 

「コーヒーでいい?あ、じゃあコーヒー二つ、お願いします」

 

「で、折り入った話って何かな」

 

「あの、音ちゃんを、あ、いえ、杉原さんを・・・」

 

「杉原さんを、なに?」

 

「杉原さんを会津に連れていきたいんです」

 

「何で?」

 

「じっちゃんの大根を収穫するんです。あの事故の前、実は彼女を誘っていたんです。黙っていてすいませんでした。本当に申し訳ないと思っています。もしかしたらそのせいで事故に遭ったのかもしれません。いえ、きっとそうなんです。だから僕は本当にあなたに謝っても謝り切れません」

 

「音ちゃんにもね」

 

「・・・でも思うんです。もしかしたら思い出すかもしれないって。事故の時に気にかかっていたことが、つっかえ棒みたいに、彼女の心のどこかにひっかかったままなんじゃないかなって。だからいろんなことがわからなくなっちゃっているんじゃないかなって」

 

しばらく黙り込む朝陽

 

「二年です・・・あのね、僕は思うんですよ。彼女が考えていたことは、君のことだけじゃない。いや、僕がそう思いたいだけかもしれないです。僕に会うずっと前から、あなたのことをずっと思っていたからね。でもね、僕は音ちゃんととても幸せな時間を過ごしたんです。二年です。彼女のそばで、ずっと。愛情という種を蒔いて、一日一日、花に水をあげるように、大切に育ててきたんです。コンクリートだらけの都会の片隅でも、しっかりと根を張るような愛情をです。植物は僕たちが思っているよりもずっと強くて、たとえ土が変わっても、そこに水と太陽があれば立派に生きていくことができる。僕は間違っていますか」

 

「間違ってないです。間違ってなんかないです。ただ僕は僕のできることをやってあげたい・・・いや、やってあげたいんじゃないです。僕はやらなきゃいけないんです。彼女の止まったままの時計を前に進めるために」

 

朝陽が言う。

「僕はね、思うんですよ・・・あの手紙で彼女は」

 

練がつなぐ。

「僕たち二人のどちらも選んではいない」

 

「それがわかっているのなら、僕に断ってなんかほしくなかったけどね」

 

CM

 

会津に広がる畑の風景を車窓から眺める練と音

駅に着き、電車を降りる二人

見上げると真っ青な空

 

ザクザクと掘り起こされる大根

 

小夏と晴太も現れる

 

「練!来ちゃった。余計なのも連れて」

 

「よお」

 

「どう、音ちゃん」

 

「うん、楽しそうだ」

 

「みたいだね」

 

音、大きな大根を引っ張って弾みでしりもちをつく

脇に手を入れて助け起こそうとする練

 

再会した日の横断歩道の風景がよぎる

助けた捨て犬を抱えたまま過労で動けなくなり

おんぶされて歩いた夜道

じっちゃんに電話しながら泣いていた練

それを聞いてふとんの中で涙した音

 

音、泣き出し、立てなくなる

 

「どうしたの?」

 

泣きじゃくったまま止まらない音

 

やっと言葉を絞り出す

 

「練。おじいさんの種、ちゃんと育って、よかったね。あの時のレシートに書いてあった大根の種だよね。おじいさんが最後に買ったカップ酒を畑にまいたからかな。おじいちゃんの思いと練の思いが、神様に届いたのかな。だったら本当によかったね。練。ごめんね、心配かけて」

 

いっしょに泣き出す練

 

「ああ、よかった。ほんとによかった。ほんとにまた・・・」

 

後はグチャグチャで声にならなくなる練と音の二人

 

「つまり」と晴太。

 

「思いは届くし、奇跡も起こすってこと」と小夏。

 

「僕らにも奇跡は起こる?」

 

「練の本気の思いをなめんなよ」

 

CM

 

練のじっちゃんの家

 

練は台所で夕食を作っている

音にコーヒーを渡す小夏

「ほんとに手伝わなくていいのー?」と大声の小夏。

「いい!任せて」

 

「落ち着いた?」

「大丈夫。ごめんなさい」

「謝ることないじゃん。わたしも結構そんな感じだったからさ。何をやってもうまくいかなくて、そのうち自分が何がしたいのかってわからなくなって、最後には自分が何のために生きてるのかさえわからなくなりそうだった」

「でもそんなときに僕がいた」

「晴太、あなたじゃなくて練。いつもいつでも練だったからね私にとっては」

「ですよねー」

「練ってね、土だと思うの。さみしい人を見ると放っておけないのね。飛んできた種を包んで、栄養をくれるの。引っ越し屋さんだって新しい場所に根付く手伝いをする仕事でしょ。ここもね、じっちゃんの土地だったし、それを取り戻すために東京で頑張ってたんだしね。じっちゃんに『おめえは土と生きろ』って言われてたのに、土のない東京で生きてるんだから皮肉なものよね。私はそんな土のないところに咲こうとする根無し草。練はね、そんな私の土になってくれようとした。木穂子さんのこともそう。いつだってそう。でも、そういう同情とか優しさと愛って全然違うんだよってこと、肝心の練がわかってなかったの。練があなたのこと好きだって気持ちを誰よりもわかってるのは私だから。そこは世界で一番、わたしだから」

「そこだけは自慢だね」

「お前が言うな」

 

朝陽の父、井吹征二郎(小日向文世)が社長室で電話。

「よろしく頼むよ!」

電話を切る

「ああ全く気に食わないな。もう明日だというのに一体何をしてるんだ」

朝陽が気のない相槌を打つ。

「そうですね」

「そういえばあの子、どうなったんだ。ひどい事故だったんだろ。でもあの貧しい小娘は生命力があるからちょっとやそっとじゃくじけないだろう。そういうところがお前には欠けてるんだ。そのもやしみたいな虚弱さがだめだ。ビジネスの世界で生きていくために必要なのは知識でも経験でもない、生命力だ。踏みつけられても簡単にくじけない根性だ。お前にはそれが欠けている。そのために欲しがるだけ金を与えて無茶をさせようとしたのにお前はいつも安全圏内でちょこまかと動きよって。おれも後継者の育成に失敗したということでは一流ではなかったわけだな」

「僕は後継者ですか。息子である前に?」

「もちろんだ。息子も何も後継者にならんのであれば意味はない。お前だって父親がろくでもない失業者なら父親とは思わんだろう」

大きく息を吸い、背筋を伸ばす朝陽。

「・・・僕はもうあなたのことを父親とは思いません。僕が欲しかったのはそんな父親じゃなかった。尊敬できなくてもいいから、僕のことを心の底から息子だと思ってほしかった。愛してくれなくたっていい。ただ、息子だと、そう思ってくれるだけでよかったのに。ありがとうございました。僕は僕の道を歩いていきます。あなたの引いたレールの上ではなく、自分の足で一歩ずつ歩きます」

「これはお前が自分で求めた道だろう。おれが強制したわけじゃない。何を甘えてるんだ。後継者になれないからって息子になりたい?ふざけるんじゃない」

父親に背を向けて、扉の前で一礼し、退室する朝陽。

苦虫を噛み潰す父の顔。

 

CM

 

退室の準備が済んだ病室。

手紙を書いている音。

封筒に栓をし、ゆっくり目を閉じる。

 

「朝陽さんへ 

 

いつも私のこと、ずっと見ていてくれてありがとう。それから、会津にも行かせてくれてありがとう。あなたのやさしさがあったから私はこうやって元気に生きていられるんだって思います。

あの手紙を読みました。そう、あのときバッグの中に入れてた手紙。最初、誰に宛てた手紙なのかわからなかったの。あの時の私はまだそういう状態じゃなかったので。でも、朝陽さんが部屋を整理して病室に持ってきてくれた荷物の中に、私がお母さんからもらった手紙があって、わかりました。これは私がお母さんに書いた返事なんだって。もう届かないけれど、いつか心から素敵な人を見つけて幸せな人生を過ごしてくださいっていう手紙だったから、その返事を書いたのですね。わたしには愛おしく思う人がいます。まぶたを閉じると最初に浮かぶ人ですって正直に。お母さんにはもう届かないのに変ですね。ずっとお母さんに心配をかけっぱなしじゃいけないとでも思っていたのでしょう。

でも、ダメですね。私はずっとお母さんに心配をかけてしまいそうです。誰かを心から愛していても、私はその人のことがわからなくなってしまうのかもしれません。今より良くなるとは限らない。もっと悪くなってしまうのかもしれません。

病気のせいだって言い訳にならないこともわかっているのですが、あなたとの思い出をまだ私はうまく思い出すことができません。本当にごめんなさい。あなたのことをひどく傷つけてしまうのかもしれません。だけど覚えていますって嘘をつくことだけはしたくなかったのです。

ちゃんと会ってうまく言えればいいんだけど、口に出そうとするとうまく言えなさそうで、手紙に書きます。朝陽さんは夜空の中の微かな光のちいさな星を見つけるように、私のことをずっと見つめていてくださったこと、感謝してもしきれません。本当にありがとう。私はきっとあなたに支えられていたから、歩いてこられたんだと思います。

                               杉原音より」

 

雪が谷大塚の坂の上。町を眺めながらその手紙を読む朝陽。

 

「ぼくだって、そうだよ。ありがとう、音ちゃん」

 

少し微笑んで、

坂を下っていく朝陽。

 

CM

 

2020年

東京五輪に沸く東京

 

花を買いに来る晴太。

 

「練、花束作ってくんないかな?」

「どんなの?」

「ものすごくでっかいの」

「りょーかい」

「誰のためか聞かないの?」

「わかってるから」

 

田舎の村を舞台にした小劇場の公演

 

舞台裏で小夏の衣装のほころびを直す明日香

「これでOK!」

 

「おい、ちゃんと照明、主演女優に当てろよ!」

と小夏

「はい!」

と答えるのは内藤

 

ステージに立つ小夏

「おら、地元でがんばるんだ!」

 

客席で眺める練と晴太

 

「打ち上げ、顔出してく?」

 

「いや、そういうの苦手だから」

 

 

ベランダで土をいじくっている練

独り語り 

ヒナソウは昭和の終わりごろに日本に入ってきた北米原産の花。見た目は繊細だけど、意外と丈夫。ヒナソウはトキワズナの別名で、4枚の花びらが親鳥にエサをせがむ雛鳥に似ているからだそうだ。僕には十字架に見えるから、この花を見ると神様にお祈りをしたくなる。そういえばこの花は今日3月27日の誕生花でもある。花言葉は『寛大な愛』『甘い思い出』『会える幸せ』。それは僕たち二人のことだと、僕は勝手に思っている。

彼女との一日一日を、僕は胸いっぱいに抱きしめている。明日への希望を描こうと、今日という日を大切に生きることこそが、明日への手紙なのだから」

 

練に後ろからしがみつく音。

 

「やめてください、杉原音さん」

 

「杉原音さんは亡くなりました。死にました。お金盗まれたショックで。盗んだ人のこと、すごく恨んで」

 

「お墓、どこですか?」

 

空を指さす音。

 

「死んだんじゃ?」

 

「死んでるように見えますか」

 

「お墓は?」

 

「現状、入ってないかな」

 

「ふふふ」

 

「あめ、食べ」

 

あめを高良健吾に食べさせる有村架純

 

「もう一個、食べるか?食べへんの?じゃあ私に食べさして」

 

ふたりであめを食べながら笑顔。