Wakeupalicedear!

最近はほとんどドラマの感想なんだけど、ほんとは短い小説を書くためなんだけど。

引きこもりの惑星

その宇宙船は、もう少しで目指す星に辿り着くところでした。

しかし、爆破されてしまいました。

 

地球は、そろそろ住みやすい場所ではなくなってきたので、プロジェクトを立ち上げて、宇宙の星への移住を目指すことになりました。

人間でも楽に住めそうな惑星は、宇宙観測でもうすでに見つかっていました。

実際に何人かの人間を送ろうとはしてきました。

ただ、ひとつ問題がありました。

宇宙飛行士たちが、長年の旅の途中で、精神的に壊れてしまうのです。

それは、地球との交信のなかでわかります。

奇妙なことを言い出すからです。

精神分析医が管制官との交信記録を詳細に分析した結果です。

こうした人たちが、人類の有望な移住先の星で、どんな世界を作りだすのかわかりません。

もしかしたら「地獄の黙示録」のような得体のしれない帝国を建設するかもしれません。

その結果、全ての移住探査機が到着前に事故と偽りながら秘密裏に爆破されています。

閉鎖的な環境が良くないのかもしれませんし、光速に近いスピードでの移動の影響ではないかとも言われていますが、実際のところ原因は不明です。

そこで実験的に、いわゆる「引きこもり」が乗せられました。

「何か人の役に立つなら何だって構いません」と、両親の同意も得ました。

皮肉にもこの男だけがある星に辿り着きました。

しかし、「着きました」という短い連絡のあと、何の報告もありません。

何せひきこもりなのですから、これほど理想的な環境はないのかもしれません。

便りのないのは良い知らせ、と女性宇宙飛行士をもう一人その星に送ってみました。

彼女も引きこもりでした。

 

そして何十年か後に、その宇宙船が無傷で帰ってきました。

中には老年の男が一人乗っていました。

自分はその引きこもりの両親の息子であり、自分も両親に似て、引きこもりのようだと話しました。