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二子玉川に魚顔の住民が多い理由を知りませんか

東急田園都市線大井町線二子玉川駅を降りると、魚顔の住民が殊更多いことに気づく。「個人の感想です」と断ってもよいが、実際にそういう目で見れば、そのような印象を持つ人は少なくないだろうと想像する。

魚顔とは、顔の中心が、鼻だけではなく、全体に前方に、山稜の尾根のようにせり出していること、その結果、両目の位置が離れていると言うよりもむしろ、双方とも後方に流れていることが特徴であると個人的には定義したい。

それでは馬顔との違いは何かと問われそうだが、馬顔の特徴は、口周辺を先頭に、顔の下に行けばいくほど前方に突き出す傾向の強いものをいうのであって、くどいけれども、魚顔とは、全体的に、顔の中心付近がせり出していることが重要なのである。

さらに言えば、二子玉川の住人の顔のなんとなくのすっきり感、つるっと感、これがいかんともしがたく魚類特有の水の抵抗を極力抑えるがためのスイミングスーツのような滑らかな視覚的感触を醸し出すのであり、しいて言うならば関東一帯に特徴的な何となくの毛深さ感とは対照を成すものである。

自然環境に恵まれ、かつ洗練された、おしゃれ感度の高さを誇る「ニコタマ」の土地柄ではあるが、水との関連性は玉川のみならず、地理的な歴史を辿るとこの周辺は、縄文時代の遺跡である貝塚が多く残ることが示すように、かつては海水が流れ込み、ハマグリやカキなども採れたのである。かつてはウォーターフロントであったことの記憶がこの土地に今も息づいているとでもいうのだろうか。

あるいはこういった生物学的ともいえる際立った現象は、近年局地的に見られるようになった『進化性遡行症』と呼ばれる遺伝現象なのか、気になるところではある。

いずれにしても、古代の歴史から生物進化の最先端へー魚顔をめぐる二子玉川の、時空を超えた壮大な謎から目が離せない。