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無重力対応進化型人類の想像図

人類は宇宙に進出して以来、無重力環境に適応した形で進化を遂げた。

地球上では重い頭を天辺に頂き、重力に逆らって二足歩行を無理やり続けていた人類は、肩の凝る無駄な努力を止め、やっと頭は胴体の下側についたが、下から物を食べても無重力なので食道を下から上に上がっていくので特に問題はない。さらに言えば、上から食べれば下に、横から食べれば横に流れる。無重力では上下左右は相対的なものなのである。

手足はといえば、特に区別がなくなり、方向を動かすためだけの機能となったため、見た目には魚のヒレとあまり区別がつかなくなった。

女性の乳房は、子供が乗っかりやすい本体上部に落ち着いたため、正面からは見えず、もはやセックスアピールとしての機能は失われている。もちろんときどき回転の加減で正面を向くことはある。

重要な変更点としては、頭が下にあるせいで、外敵の接近が比較的発見しづらくなったため、緊急時には頭が胴体の中にしまわれる、亀のような仕組みになったことである。胴体は、特に方向のない無重力空間に合わせて既に丸くなっているので、本体にしまわれた際には、頭が重しになって、外敵に『起き上がりこぼし』のように遊ばれる。