身代金を出さなければ、あいつにろくな未来はないよ。
たかが2億なんて、あんたにとっては何でもないはずだから。
幸か不幸か、あんたの懐具合は、よぉく知ってるのでね。
声など変えやがって、ふざけるな!
お前のような卑劣な誘拐犯に出す金など一銭もない!
どうしても出さないというなら仕方ないね。
でもね、そうするとあんたの最愛の息子さんは、
狂言誘拐の犯人として警察に捕まっちゃうよ。
それでもいいのかな?
ここはどこだ?
いきなり気を失った気がするが・・・
その後のことはまるで思い出せない。
出口は・・・全て塞がれているな。
どうやら誘拐されたらしい。
しかし、一体、誰が、何のために、こんなことを?
人に恨みを買うような真似はしていないはずだ。
いや、もしかして・・・
ここだ、突入するぞ!
おい!大丈夫か!
犯人はどこだ?
なに?犯人の顔を見ていないだと?
刑事さん、本当なんだ・・・
気がついたらここにいたんだ。
でも本当に犯人の顔は見ていないんだ。
なぜなら・・・犯人は僕の中にいるからなんだ。
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師走の列島を騒がせた誘拐事件は狂言でした。
逮捕された男は自分の中のもう一つの人格の犯行だと
主張しているとのことですが
警察では今後、詳しい動機を調べる方針です。