「人類はかなり混乱しておったようだが、最近はどうかね？」
「インターネットのおかげでかなり整理できましたよ。ネットは多様化を促進するものと従来は見なされていましたが、実際のところはそうでもなかったですね。前世紀中頃にピークに達した後は、その反動で一気に統一化の方向に進みましたからね。いわゆる『ネット帝国主義時代』の幕開けです。でも考えてみれば、いろいろ細かく見てしまうと分類が難しくなってしまうわけで、細部の解釈はさておき、アルゴリズムで機械的に分けてしまえば済むことになぜもっと早く気付かなかったのでしょう。分類を細かくすればするほど、グループ同士の対立が激しくなってしまいますしね。その対立のエネルギーこそ社会を動かす原動力だなんて幻想にしがみついていられたのも過去の話。対立する要素が少なければ少ないほど社会は安定するのであって、絶対的多数の幸福のことを考えれば、整理できない未分類の人類は社会のためになりません。現在のところ、一時的に『未分類」に冷凍保管されていますが、来世紀までには適切な処分の方法を考えたほうがいいと考えております」
