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Wakeupalicedear!

最近はほとんどドラマの感想なんだけど、ほんとは短い小説を書くためなんだけど。

Give love a chance

ー月曜日ー

彼女に冷たくされてさみしかったから、コンビニの愛情ATMで少しだけ【愛】を引き出した。

しばらく貯めてたから利子がついてた。

これまでの自分の【愛」よりも、少しだけでもたくさんの【愛】がもらえるなんて。

これでさむい夜もなんとかやり過ごせそうだ。

 

ー水曜日ー

無理に彼女と会う約束をしたのがいけなかった。

見事に振られちゃったよ。

むしゃくしゃして、駅のホームの愛情ATMで、口座の【愛】を全額引き出した。

でなきゃぼくのすべてが崩れ散ってしまいそうだったからね。

明日からどうやって過ごそうかな。

 

-金曜日-

銀行を襲った。

「ありったけの【愛】を全部出せ!」って言ったら、

カウンターの女の子が「わたしの?」って変な返事をするから、

「君のじゃない。この銀行のだ」って間の抜けたやりとりになってしまったが、

襲撃は無事に成功だ。

ぼくにしてみれば、これまで誰も、【愛】を盗むことができるんだって考えてもみなかったということ自体、不思議でしょうがないけどね。

そしてぼくは、この街に住んでいる、【愛】に満ち足りた、あるいは必要以上に愛されてしまった人たちの余分な皮下脂肪のような【愛】を、この殺伐と冷え切った世界に解き放つことを、ここに宣言する。

【愛】に恵まれず、でも切実に【愛】を求めているぼくたちこそ、本当にかけがえのない愛をこの手にする権利があるんだ。

銀行を出たあと、ぼくは大きく深呼吸をして、この街で一番高いビルの屋上まで一気に駆け上り、ボストンバックにぎっしり詰まった【愛】の束をつかみ出して、空に向かって思いっきり投げつけた。みんなに届け!って叫びながら。

 

-日曜日-

手元に少しだけ残しておくのを忘れてしまったことを今でもちょっぴり後悔しているけど、まだどこかに転がっているかもしれない。そう信じて歩き続ければ、いつかどこかで【愛】のかけらに運よくぶつかるかもしれない。ぼくはそう信じてるから、街に散歩に繰り出すとしよう。