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Wakeupalicedear!

最近はほとんどドラマの感想なんだけど、ほんとは短い小説を書くためなんだけど。

Mirror twins/ Vanishing twins -双子三部作完結編-

ぼくは物心ついたころから眼鏡をかけている。

そこにはもう一人のぼくの姿が映し出されている。

その姿の真似をすることでぼくは成長してきた。

その姿はぼくと左右が反対になっている。

ちょうど鏡に映る姿のように。

ダンスの振付師が左右逆に踊ってくれるようなもので、

道に迷った時に地図をつい廻してしまって余計にわからなくなるように、

自分の頭の中で心的回転をしなくてもいい。

ただ見えるように、そのままに、すればいい。

ぼくはそうやって言葉も覚えた。

ダンスの振付師と違うのは、姿がそっくりぼくと同じこと。

それは、Mirror twins という、

そっくりの双子なのに、右と左だけが違ってしまう現象のように。

たとえば、一方が右利きなら、もう一方は左利き、

一方のつむじが時計回りの渦なら、もう一方のつむじは反時計回りに。

しかし、ある夜更け、ぼくのMirror twinが、ぼくに話しかけてきた。

ぼくが思っていることと違うことを。

 

「ぼくは君の Vanishing twinだよ」

「おかしいな。だって君はぼくのMirror twinだろ?」

「いまはそうだけど、もともとは違う」

 

妊娠初期、ごくごく小さいながら確かに姿があったはずなのに、

いつのまにか消え去ってしまう、双子の片方。

それが Vanishing twin。

 

「ぼくはふたりで一緒に生きたいと思ったんだ。

でも神様は、席はどちらかひとつだと言った。

僕はお兄ちゃんだと自分では思っていたから、

お兄ちゃんらしく、弟のために、鏡の中のほうを選んだんだ。

誰にも気づかれてなければいいんだけど」

 

だいじょうぶだよ、お兄ちゃん。

自分が見えるってママに言って心配されたことはあるけど、

医者に「幼児期に特有の現象で、成長するにつれて消えてしまいます、

だからお母さん、あんまり心配しすぎないように」と言われて、

素直に納得していたら、だいじょうぶだよ。

 

でもあのときだけで、すぐにぼくたちはMirror twinsに戻った。

いま、目の前にも、いるよ。