Wakeupalicedear!

Shortest stories

それはそれは見事な腕を持った長編小説家でした。しかしアルツハイマーになりました。長い話の筋や人物関係を覚えていられなくなり、書けば書くほど破綻していきました。そのうちに、主な仕事は短編小説になりました。その世界でも高く評価されました。しかし病状は進行しました。ショートショートになりました。ライバルは多くはありませんでしたが、それでも独自の世界を築きました。さらに症状は進行しました。短歌になり、そして俳句になりました。コピーライターとしてもひっぱりだこでした。症状は最終局面に入りました。使えるのはもはや文字ひとつだけ。それでも何か特別な意味をもっているかのようでした。彼はそういう特別な作家でした。彼が最後にこの世に放った言葉をここにいる全員で言ってみることをご提案したいと思います・・・よろしいですか。せえの、【う】