Wakeupalicedear!

Shortest stories

本当の自分

「つまり君の中に小さい君がいて、君を操縦しているというわけだね」

「ええ、でも一人じゃないですけど。せぇの!パッ」

少年の左右の耳から一人ずつ、口からは三人顔を出した。

「5人なの?」

「まだいるけど、一度には出れない」

「ちょっとみんな、出てきてくれるかな」

耳から口からゾロゾロ出るは出るは。

「じゃあみんな座っててくれるかな。話があるんだ」

口々に「しょうがないな」と並んで座るやいなや、

分厚い医学書でバンッバンッとつぶされた。

「これで本当の君の人格が現れるはずだ」

ところが少年はカクッと首を垂れた。

「しまった。本物もつぶしたか」