Wakeupalicedear!

Shortest stories

最近、夢を見ない


男は、眠りにつくと必ず夢を見た。しかし、その自覚はなかった。現実と夢とが完璧につながっていたからだ。眠りにつくその日の夜までに起こったすべてデータをもとに、人工頭脳が新たな一日の流れを描き出すからだ。もともとの毎日がただの繰り返しだから、本人もこれは夢だと思うことも一切なく、普通に朝起きたつもりで、また一日をただ淡々と過ごす。そして何事もなかったかのようにまた眠りにつく。すると、すぐにまた起きる。今度は本当に起きているのだが、本人にしてみれば本当も何も、いつもの通りなのだ。ただ、男はこう思った。

 

「最近全く夢を見ないな。」