Wakeupalicedear!

Shortest stories

最後の手紙


残念だ。こんな形でお前たちとの幸せな人生を終えるなんて。

いま必死に書いている。言葉にならない。

時間がない。愛している。心から。

 

激しく降下しているから、きたない字だ。読めるか?

 

それにしても、脳裏に浮かぶのは幸せな思い出ばかりだ。

ここにすべて書き出したいぐらいだが、パパには時間がないんだ。

ママ、愛している。お前たち全員もだ。

パパのことをいつまでも忘れないでほしい。

 

いつ落ちるのだろうか?北極海上空のはずだから、氷の上か?

 

こんなに早く人生を終えるなんて。

やり残したことばかりだ。

お前たちの成長する姿をこの目で見たかった。

それまでにはいろんなことがあるだろう。

ただ、生きてさえいれば。。。

 

おかしい。もう一時間は墜ち続けている。

明らかにこの飛行機は墜落しているはずだ!

この急降下なんだぞ!

着陸じゃないんだろ?

どこまで墜ちるんだ!

 

いいかげんしろ!まだか!

いつまで墜ちるんだ?

まだ墜ちるのか!

 

・・・・

 

まだだ。まだ終わらないんだ。まだ墜ちているんだ。

 

これはいつか終わるのか?

それとも、この手紙を、永遠に書き続けなければいけないのか?