「おかしいですね・・・息子さんにはどこにも異常は見受けられないんですが」
「やっぱりそうですか。どこへ連れて行ってもそのように・・・」
「もうどのくらいこんなふうに反応のない状態なんですか?」
「・・・22、3年ぐらいでしょうか」
母さんそりゃそうだよ。
ぼくはどこもおかしくなんかない。
ただ忙しすぎるだけなんだ。
母さんが僕に数字を教えたりするからだよ。
いま4億4225万7873回目の呼吸をしたところ。
集中してないとだめなんだ。
他のことをしようとすると忘れそうになるんだ。
それじゃだめなんだ。
だって、これは僕の一生の仕事なんだから。