Wakeupalicedear!

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僕が気象予報士になったわけ


あのとき、あの瞬間、君の髪を、なんでもない風がなびかせた。

でも完璧だった。奇跡が起きたんだ。僕の心は完璧に君のものになった。

それで僕は気象予報士になった。奇跡を起こす風の神秘を探りたかった。

いまではもちろん、だいたい天気はわかる。

でもあれ以来、君に奇跡は訪れていないし、

だから僕は、僕の心を君から取り戻した。

もちろんそんなことは君に言わない。言う必要もない。

あの時の風は何だったのかはいまだにわからない。

だいたい僕は気象予報士だ。天気が読めればいいのだ。