ウォークイン・クローゼットを開けると、
ずーっと向こうまで、
いっぱいの「からだ」がハンガーにかけられて、
バーにずらっとぶらさがってる。
ちょっと背が低めでコケティッシュなかんじとか、
すらっとスレンダーなモデルタイプとか、
出るとこ出過ぎなセクシーすぎるのとか。
もちろん、感じやすいところもいろいろ。
どれもわたしといえばわたしだし、
どれもわたしじゃないといえばわたしじゃない。
わたしはこのちっちゃなカプセルのなかに詰まってる、
ふわふわしたガスみたいなもの。
死んだ後に少し体重が軽くなる、あのぶん。
そのカプセルを今日の「からだ」に差し込んでもらうの。
そんな毎日に飽きたら、火をつけてもらうの。
ガスだから、簡単に「ポッ」って燃える。
それでおしまい。