Wakeupalicedear!

Shortest stories

わたしのカラダ


ウォークイン・クローゼットを開けると、

ずーっと向こうまで、

いっぱいの「からだ」がハンガーにかけられて、

バーにずらっとぶらさがってる。

 

ちょっと背が低めでコケティッシュなかんじとか、

すらっとスレンダーなモデルタイプとか、

出るとこ出過ぎなセクシーすぎるのとか。

もちろん、感じやすいところもいろいろ。

どれもわたしといえばわたしだし、

どれもわたしじゃないといえばわたしじゃない。

 

わたしはこのちっちゃなカプセルのなかに詰まってる、

ふわふわしたガスみたいなもの。

死んだ後に少し体重が軽くなる、あのぶん。

そのカプセルを今日の「からだ」に差し込んでもらうの。

 

そんな毎日に飽きたら、火をつけてもらうの。

ガスだから、簡単に「ポッ」って燃える。

それでおしまい。