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ファッションエディター

この星には昔からトレンドを創るファッションエディターがいるの。
まず、地球にしかない色のトレンドを作り上げた伝説のエディター。
昆虫、魚類、両生類の時代には、鮮やかな色彩と柄を展開したわ。それは見事なものだったわ。私は心底尊敬しているの。
でもその後、地球環境が厳しくなるにつれて、ファッションエディターも受難の時代になったの。
だから、その後の世代は、材質に注目して、耐久性を兼ね備えた「皮素材」を大々的にフィーチャーしたの。
大型爬虫類をモデルに採用して、大量生産を見据えた生産ラインを開発。
でも、想定外の厳しい冬を予測できずに、在庫過剰になってしまった。歴史的な大失敗よね。
そこで、第三世代のエディターは軽さと保温性を兼ね備えた毛皮に注目したの。
鳥類と哺乳類にまとわせ、軽やかな新しいファッションの時代を切り開いたわ。トレンドはストライプ、それに水玉。
ファッションステージは、森へ、草原へ、空へと広がって、爽やかな背景の中に小ぶりなモデルたちを配するようになったの。
でも、時代は変わる。環境意識が高まって、読者からも毛皮はどうなんだという声が上がるようになった。
だから、毛のないモデルをプロモートしたのよ。それが突然変異したサル、ヒトたち。
毛の残っている部分は布きれで隠すように教えたらしいんだけど、どうもいつも隠すのは下だけで、上はむしろ隠さないことの方が多いのよね。
年寄りのオスには上の毛もなくしているファッションコンシャスな個体が多いみたいだけど、大半は剥き出しのまま。
さて、そろそろ次どうするか考えなくちゃね。
ヒトはちょっと地味すぎたから、今度はもっとカラフルにしないと。
でも、なかなか暑くなるみたいだし、耐水性も必要だし、だんだん難しくなってくるわ。
でも、もちろん、新しいビューティーは私たちが創りだす。
だって私たちは次世代を担うファッションエディターなんだから。