私たちは絶対的な親友だった。
でもどうしてか同じ男の子を好きになっちゃった。
死ぬほどに。
「私は身を引くわ」「いいえ私が」
そんなことを百万回繰り返した後に、決めた。
二人で一緒に死のう。親友でいられるうちに。
このままじゃ、いつか罵り合って、きっと憎しみ合うから。
そんなの悲しすぎるから。
ビルの屋上から手をつないで飛び降りた。
8階だし、高校生にもなると体重もあるから、まず失敗はない。
目を開けたら白い天井。病院のベットに寝かされていた。
そっか、死ねなかったんだ。
のぞきこむ人たちの顔を見ておかしいなと思ったけど、すぐに真っ暗になった。
また目が覚めた時の病室は静まり返っていた。
トイレに行って、鏡を見ると、美しすぎる顔が映ってた。
私じゃなかった。彼女だ。
次の日、彼が見舞いに来てくれた。
彼女と私と三人一緒だった時にはどっちかにいい顔したりしなかった。
彼のことを好きになったのは彼女より私の方が先だったこと、彼も気づいてたから。
そんな優しいところが好きになった理由。
いまの彼も、優しい。
3人の時よりも1000倍、弾ける笑顔が眩しすぎるくらいに。
だから、言えるわけない。
彼女じゃないの、私なの。
なんて。
彼のことをどんどん好きになっていく。狂っちゃいそうに。
好きになればなるほど、苦しすぎる。
苦しすぎる。
もう、崩れそう。
今度はひとり。
彼女のからだと、私のこころが、落ちてゆく。
やっと一緒になれるね。
ひとりだけど、ふたりだから。