私の場合、眠るということは普通と少し違います。
眠ると、少しだけ違う人生にスライドします。
眠らないわけにはいかないので仕方ありません。
くどいですが、少しだけ違うのであって、
それはつまりほとんど同じだということなのです。
どうやら、4つの世界を巡回しているようなのです。
ずっと起きているかというとそうでもないようで、
その間のどこかで眠ってはいるようです。
ただ、私は眠っているので、それが眠りなのか、
現実なのか、夢なのか、そのどちらでもないのか、
わかりませんし、わかろうとすると、壊れそうになるので、
わかろうとしないようにしています。
警備員になったように巡回し、異常がないかを確かめる。
それだけといえばそれだけの単純なことなんですが、
でも困ったことに大抵異常があるんです。
でも、次の眠りに入り、別の巡回に出かけると、
もはやその異常のことなど、まるで覚えてはいないのです。
構いやしません。片付けるなり、放置するなり、
いずれにしても結論が、文字通り、寝ている間に出ているのですから。
このように眠りの中の人生というものは都市に似通っていて、
複数の都市を行ったり来たりしながら生きることができるように、
複数の人生をぐるぐるとまわりながら生きることもできるのです。
少なくとも物理的には精神に境界線はなく、
眠りは自由に複雑な形態をとりうるのですから。
全体としていかに4つの眠りの均衡を保つのか。
それは私の知ったことではありません。
壊れるものは放っておいても壊れるものですし、
壊れないものは結果的に壊れていないのですから、
あなたが自分についてできることなど、
結局一つもありはしないのです。