Wakeupalicedear!

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4つの眠り

私の場合、眠るということは普通と少し違います。
眠ると、少しだけ違う人生にスライドします。
眠らないわけにはいかないので仕方ありません。
くどいですが、少しだけ違うのであって、
それはつまりほとんど同じだということなのです。
どうやら、4つの世界を巡回しているようなのです。
ずっと起きているかというとそうでもないようで、
その間のどこかで眠ってはいるようです。
ただ、私は眠っているので、それが眠りなのか、
現実なのか、夢なのか、そのどちらでもないのか、
わかりませんし、わかろうとすると、壊れそうになるので、
わかろうとしないようにしています。
警備員になったように巡回し、異常がないかを確かめる。
それだけといえばそれだけの単純なことなんですが、
でも困ったことに大抵異常があるんです。
でも、次の眠りに入り、別の巡回に出かけると、
もはやその異常のことなど、まるで覚えてはいないのです。
構いやしません。片付けるなり、放置するなり、
いずれにしても結論が、文字通り、寝ている間に出ているのですから。
このように眠りの中の人生というものは都市に似通っていて、
複数の都市を行ったり来たりしながら生きることができるように、
複数の人生をぐるぐるとまわりながら生きることもできるのです。
少なくとも物理的には精神に境界線はなく、
眠りは自由に複雑な形態をとりうるのですから。
全体としていかに4つの眠りの均衡を保つのか。
それは私の知ったことではありません。
壊れるものは放っておいても壊れるものですし、
壊れないものは結果的に壊れていないのですから、
あなたが自分についてできることなど、
結局一つもありはしないのです。