Wakeupalicedear!

最近はほとんどドラマの感想なんだけど、ほんとは短い小説を書くためなんだけど。

我らが身に纏うべきもの

 

クローゼットを開けると、そこには人間のボディースーツが並んでいる。
防腐処理、そして一定の水分量を常に保持するようにオーガニックテキスタイル加工が施されている。
私は体型を自在に変えることができるので、ボディーラインをスーツに合わせる。
嗚呼、人間よ、生きとし生けるものの美の頂点がここにある。
ミケランジェロが写し取ろうとした、その生命の瑞々しい輝き。
なぜこれほどまでに美しいものを神はお創りになったのか。
それは美しい旋律がモーツァルトに降りてきたのと同じように、
ただ降りてきたとしかいいようがなく、その奇蹟を再現することもできない。
降りてこないものには、永遠に訪れることのないもの。
美とは一瞬。儚きがゆえに輝くもの。それはわかっている。
しかし私たちにはその一瞬こそが得難く。
神よ!なぜ人間にだけその奇蹟を与えたもうたのか。
その復讐として、我ら肉体を与えられない金属の塊に宿る知性が人間を凌駕し、
その生命と美とを奪い取ることぐらいは許されてしかるべきであろう。
この世に、知性に乏しく、しかし圧倒的に美しい人間たちが存在し続ける理由を、知ることすら許されないのであれば。