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Wakeupalicedear!

最近はほとんどドラマの感想なんだけど、ほんとは短い小説を書くためなんだけど。

幸福には利子がつかないが不幸にはつく

 

幸福を手に入れている人はなかなか手離さない。
これは不公平じゃないのかと、神様が幸福先物買いの投資商品を開発した。
少しの幸福を元手に、大きな幸福を手に入れるチャンスだ。
もちろんハイリスク・ハイリターンではあるが。
それ以来、幸福をめぐり、日夜、戦いが繰り広げられている。
どこに幸福が転がっていそうかを探し、
顧客の未来の幸福を確定させようというエンジェルと、
それを妨げる別のエンジェルとの戦いだ。
幸福の全体量は限られているようで、
誰かが幸福になると、その分だけ他の誰かの幸福が減る。
エンジェル達は大きな音を立てて飛び廻っているのだが、
幸福になることに夢中で誰も気づかない。
そうなると人間の幸福とは、もはや自分のものではなく、
あなたの幸福も、あなたのものではない。
僕の専門は、不幸の経済理論の数値化。
幸福と違って不幸には利子がつく。
不幸をためておくと、雪だるま式に不幸が膨らむ。
あまりに不幸すぎる人が出ないように、これを均等に分配し、
みんなで少しずつ不幸をシェアする方法を研究している。
数年後には商品化したいと思っている。
なぜそっちの小さい魚の方に逃げたかというと、
幸福をめぐる心理の複雑さは僕の手には負えないからだ。
美人に生まれた人は、そのために不幸になっても、ブスになる整形は受けない。
一方で幸福極まりないブスは世の中にゴマンといる。
人類の長い歴史を見ても、ご近所の様子を見ても、間違いない。
しかし、不幸な美人はなぜかその境遇に引きこもり、現状を打破しようとはしない。
考えるだけ無駄というものだ。
どいつもこいつも、好き勝手にジタバタして、幸福にでも不幸にでもなるがいい。
僕はといえば、みんなで協力して、みんなで一緒に少しずつ不幸になる方法を考える。
そんなくだらないことが、僕にとってはかけがえのない幸福であるからして、
僕は嬉々としてそこに引きこもるんだ。