ミステリー
何者かに殺害された若い女性の遺体が発見された。 【I】複数の犯人が出頭し、それぞれに全く同じ自白をする。それは犯人にしか知り得ない情報を含む。 【We】私たち全員が犯人だと主張するが、被害者の傷はひとつしかない。
「私は自分自身を殺しました。逮捕してください」 彼は警察署に突然現れ、そう告げた。 「自分を殺したなら、あなたはいまここにいないでしょう。我々もそんなにひまじゃないんだ。ちゃんと自分を殺せてから出直してくれ」 たまたま応対した刑事はウィットを…
私は犯罪を憎みます。 家族を一瞬で奪われたからです。 この世界はありとあらゆる犯罪に満ちています。 どんな事情や理由があっても、故意であってもなくても、犯罪は許されません。 償えばいいというものでもありません。 犯罪がいまこの瞬間にも起きている…
身代金を出さなければ、あいつにろくな未来はないよ。 たかが2億なんて、あんたにとっては何でもないはずだから。 幸か不幸か、あんたの懐具合は、よぉく知ってるのでね。 声など変えやがって、ふざけるな! お前のような卑劣な誘拐犯に出す金など一銭もな…
なけなしの一万円。 お袋の薬代にしようか、食費にあてようか考えた挙句、 あまりに腹が減ったので、食費にあてた。 お袋は一週間後、体調を崩して急に死んだ。 その一万円のことは一生忘れないようにと、 端っこに赤のペンでしるしをつけておいた。 俺にし…
「彼、長考に入ったわよ」 そう、その通り。僕は長考に入った。すごく深く考えている。将棋の羽生名人みたいに。 次に何を口にすべきかを。 ぼくは先の先を読んでいる。 ぼくの人生で一日だけでも、ぼくの予想したとおりの会話になるように。 リアルに他人が…
ある日、女を殺した。 未来永劫解明され得ない完全犯罪の成立だ。 なぜなら、これで人類の半数が死に絶えたからだ。
「どうもこのパソコン、誤変換が多いよな・・・」 彼は、どうやら気づいていないようだ。誤変換した言葉をつなげると、恐ろしいメッセージが語られていることに。グーグルはそれを収集しているのだということに。
えっ!
「青酸カリです」 「執筆中にか・・・」 「それがですね・・・最後に書いていたのがミステリー小説なんですが・・・」 「何がおかしいんだ?ミステリー作家なんだろ」 「犯人がどうやって作家を自殺に追い込んでいったかを犯人が告白しているんです」 「そう…
「あなたは、この完全犯罪を解き明かせますか?」そう呼びかけられたら黙ってはいられない、と普通の視聴者は考える。そして番組から小出しにされる新情報に振り回されながら、独自の推理を突き詰めていく。しかし一方で逆の立場からこの挑戦的な問いかけに…
殺人事件の通報があり、刑事たちが駆けつけた。 現場検証中に夜中の12時になり、 気がつくと死体が消えていた。 あとに残ったのは死体を囲む白い線だけ。 死体はどこだ? 国中をしらみつぶしに探し、ようやく見つけた。 白い線に合わせて寝てもらうと、 寸分…
なぜ人を殺してはいけないのか。 人を殺せば、その瞬間、相手と自分が入れ替わるからだ。 つまり、元のお前は誰かを殺した瞬間に死に、 お前がお前だと思っているのは、 実は殺したと思った相手なのだ。 人を殺すとき、そして殺したあと、頭の軸が揺らぐよう…
彼は人気絶頂の漫才師だった。 笑わない奴は誰もいないからな、困っちゃうよ。 そんなふうに豪語していたのに、 一人だけどうしても笑わない奴がいて、 気に食わないから、殺した。 相方だった。
男が夜、自宅に帰ると、最愛の妻と娘が殺されていた。 死ぬほど嘆き悲しんだ男は叫んだ。 「犯人に復讐できるなら、私は死んでもいい」 ひそかに現場に戻り、男の様子を物陰から眺めていた犯人は、 男を背後から刺した。 意識が遠のいていく男に向かって犯人…
見事な茶碗よのう。 見た目には山のようにしっかりしておるが、 持ってみると、思いのほか手に馴染む。 これがおぬしの最後の茶碗とは、誠に残念じゃ。 作りたいと願うても、もはや作ること、叶いませぬ。 その茶碗にすべて作り込めてしまいましたがゆえに。…
あいつのプレーは本当に予測不能だよ。 新聞に書いてあったが、司令塔のポジションなのに、味方にも何を考えているか全くわからないらしい。 考え方にパターンというものが一切ないらしいんだ。 それで、なるほどな、と思ったよ。 たとえば、ヒッチコックの…
名詞 彼女の名前は、職業は? 形容詞 彼女の肌の色は、容姿は? 形容動詞 どのように生き、 疑問詞 いつ、どこで、なぜ、どのように死んだのか?誰が殺したのか? 現在形 いまは死んでいる。 過去形 昨日は生きていた。 現在進行形 まさに検視されているとこ…