Wakeupalicedear!

Shortest stories

ポエム

積み木は積むためにあるのではなく、いつ積むのをやめるのか考えるためにある

この積み木をどこに置こうかな。は未来を考えること。 あの積み木をどこに置いたかな。は過去を考えること。 あの積み木をどこに置いたかなってきっと僕は考えるんだろうな。は未来の過去の未来を考えること。 そうやって僕は未来も過去も現在も一緒くたに考…

創造物責任法

「自分で創った世界だ。自分で壊して何が悪い」 そんなふうに神様は開き直っているのでしょうか。 でも、それはとても悪いことなのではありませんか。 自分で育てた野菜を食べたり、家畜を食べたりするのは構いませんが、 自分で建てた家に自分で放火したら…

少年へ

知らない街の地図をずっと眺めている少年へ。 そうだ、君はどこにだって行けるさ。 でも君はその街が一体どこにあるのか知らないんだ。 そして人生はきっとそんなものなんだよ。

森の言葉を話せなければ、森には入らないほうがいい。

僕は今日、ふと気づく。 ここで話されている言葉が話せない。 あるいは、 話すべき言葉が話せない。 それはたぶん、どこでも同じように。 中東の市場を歩いているような。 解放感と。 疎外感。 しかしざわめきたつ東京の街でも。 深い湖の底に沈んでいるかの…

地上に降りない猿

地球が水没後、張り巡らされたジャングルジム。 ぼくたちこどもが遊んでいる。 どこにも降りることはできないから、 もっともっと高く。 もうここまでは波はやってこないよ。 ぼくたちには届かないんだ。 ぼくたちは空を、星を、見上げているんだから。 地上…

”To be, or not to be…” 僕なら 「バームクーヘンか、ドーナツか」 と訳すんだけど

その殺人事件の異様さは、容疑者が果てしなく増えていくことにある。 それはとても数え切れない数になっている一方で、全ての容疑者の嫌疑が一向に晴れない。 ありとあらゆるプロファイリングにもかかわらず、肝心の犯人像は空白のままだ。 中心に何も描けな…

ブルドーザーがせっせと更地にしている風景は

言葉とか紙とか日記やペンやコンピュータや 記憶を補うものがいろいろと出てきたせいで 何を失ったのかさえ、いつのまにか忘れてしまうようになってしまった気がします ちょうどそんなことを考えていました。 わたしのこころのなかにある、 とても特別な場所…

おばさんは、物凄いスピードでガムを噛み続けている

物凄いスピードでガムを噛んでいるおばさんが僕に問いかけた 「人生という車窓の景色が嘘だったら」 僕は目線を上げて、スムーズに流れる車窓の景色を眺める 電車はトンネルを抜けて、少しずつ、地上が見えてくる おばさんは、つま先の破れた、口の開いた靴…

ココロのろ過装置

ココロをピュアにしたいと思いました。 通販でココロのろ過装置を買いました。 そのろ過装置は何層にも分かれています。 大きなココロのゴミは、大きな石の層で取り除きます。 主に、恨みと妬みです。 中くらいのココロのゴミは、中くらいの石の層で取り除き…

サッカー部の少年の秘めた恋

無回転のフリーキックのサッカーボール キーパーの手元でブレて、すり抜け、落ちる どっちに落ちるのかは打った本人にもわからない 君からの、目的のない、悪意ある、愛のない言葉のように

人がいなくても

人がいなくても、水は流れる。この星の遥かな未来には。 人がいなくても、水は流れる。この自動洗浄トイレにも。

A Perfect Circle

一匹の猿がすくっと立った。 そして、360°回転した。 尻尾が大地に円を描いた。 猿はその円を見つめた。 そして人となった。 一人の男が大理石を削り、 人間の姿を作り出していた。 究極の姿を求めていくにつれて 形はますます失われ、 円球となった。 男…

奈落の底

ここはブラックホールだ。 一度入ったら、光さえも二度と出てこられない、暗闇なんだ。 重力に押し潰されて、捻じ曲げられて、時間さえも失われていく。 その先に何があるかは、誰も知る由もない。 宇宙が終わる、遙か未来のその時まで。 何ブツブツ言ってん…