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Wakeupalicedear!

最近はほとんどドラマの感想なんだけど、ほんとは短い小説を書くためなんだけど。

ファンタジー

If you don't know me by now

神様は全知全能の、アンドロイドのようなものでした。 無尽蔵の知識と、圧倒的な計算能力を備えていました。 人間からすると、神業としか思えないほどの。 ただ、そんな神様にもわからないことがありました。 人間がなぜ喜び、なぜ悲しみ、なぜ苦しむのか。 …

掃除のおばさん

わたしは、壊れた夢や、砕け散った希望の欠片を掃き集める掃除のおばさんです。 このたび、サンタクロースと業務提携をすることになりました。 恵まれないこどもたちに、夢や希望を与えられるとしたら、こんなに嬉しいことはありません。 たとえいつかまた壊…

クライフォーミーベイビー、ミスターサンタクロース 

幸せなこどもにも、そうではないこどもにも、とびっきりの笑顔になれる一瞬を届けてくれるサンタクロース。 来る年も来る年もずっとずっと、世界中のこどもたちにプレゼントを配ってきたけれど。 「今年はちょっと、疲れちゃったな」 そんなことをつぶやくも…

名残り雪

《つまらない人生はあっても、つまらない日はない》 そういう張り紙が、僕の病室の壁にある。 「励ましてるのかな、これ」 彼女は不思議そうにつぶやく。 もちろん、励ましてるのだろう。 余命3ヶ月の宣告を受けてから、 残された時間を数える以外に、何も…

Wannabe Watanabe

ワタナベになりたかったんです。 渡辺、渡部、渡邊、渡邉、どれでもいいから。 ワカタベとかじゃなければ。 生まれてくる前に神様と約束して、 お腹の中にいるまでは渡辺さんちの胎児だったのに、 出てきてすぐに取り違えで別の家の子になった。 父親に抱っ…

¡RAEDECILAPUEKAw

どうやら穴の中に落ちています。 そんなにひどい高さではないけれど、壁は滑って登れない。 夜の帳が降ります。 仰向けに寝転がると、星が輝きます。 私の瞳にもその光が映り込んでいることでしょう。 星座は夜の間に現れては消えゆきます。 時の流れと同じ…

おとぎ話にダークな作品が多い理由

おとぎ話には残酷な話が多い。 世界がいかに残酷なところか、子供たちに教えて、準備させておくためだ。 子どもたちは残酷な目に遭うことが多いから。 無事に生き延びることができた子供たちは、大人になり、世界がいかに残酷だったかを忘れる。 だから大人…

夜明けの日

「よく見ておくんだよ。夜空の星が見られるのは今日で最後だからね」 「なんで?」 「明日、宇宙の夜が明けるからさ」

ほころんだ糸

ある日、妻は、夫のセーターの糸がほころんでいるのに気づき、 引っ張ってみたら、ズボンもシャツもパンツもほどけて、 しまいには夫自身がほどけて長い長い一本の糸になってしまった。 悲しんだ妻はその糸を縒って丈夫な紐にして、それで首をつった。

いつまでも覚えていたい夏

去年の夏はすごく暑くて、 彼が溶けちゃった。 どろどろになっちゃった。 そのうち寒くなってきたら また固まるかなって思って待ってたけど いつまで待っても固まんないから どうしようかな。 もう冬だよ。 そろそろ固まらないと、 もう固まらないよ。 永遠…

ただいま

帰ってきて、 二階に上がり、 自分の部屋のドアを開いて 僕は気づいた。 まだ、何も変わっていない。 「いつかあの子が帰ってくるかもしれないから」と 母さんがそのままにしているんだ。 見てはいけないものを見てしまった。 そんな気がして、僕は慌ててド…

海と空

ある日 海が雲になって、 空に向かって雨をふらせた。 何年も、何十年も降りつづけて、 ある日 雨は止んだ。 かつて海だったところは澄み切った青空になり、 かつて空だったところは見渡すかぎりの海になった。 僕は海辺で逆立ちをした。

餅月姫の恩返し

昔あるところにおじいさんとおばあさんが住んでいました。 おじいさんが田んぼで稲刈りをしていると、 女の子が熊に食べられそうになっていました。 優しいおじいさんは必死で熊にかじりつき、 女の子を助けて、慌てて走って家まで連れ帰りました。 女の子は…

It's a sunny day!

今日もいい天気だ。 何せ海がなくなったんだから、 雨のふりようがない。

電車から降りた獏がふと立ち止まり、 口をぽかんと開けながら、 駅の窓から夕焼けの空を眺めていた。 いやもちろん、人間の姿をしてはいたけれど、 あれは、獏だ。 人間はあんなさみしそうな目はしない。 どんなにさみしくても。 人の夢を食べて生きている獏…

火星一丁目へ届け!

ともだちがおまえのパパはうちゅうでゆくえふめいなんだっていうけどかせいいっちょうめにすんでいるんだってママいったよね?だからぼくはちちのひにかせいいっちょうめパパへってはこにかいてひげそりをたっきゅうびんでおくった。すごいとおいからひげが…

僕が気象予報士になったわけ

あのとき、あの瞬間、君の髪を、なんでもない風がなびかせた。 でも完璧だった。奇跡が起きたんだ。僕の心は完璧に君のものになった。 それで僕は気象予報士になった。奇跡を起こす風の神秘を探りたかった。 いまではもちろん、だいたい天気はわかる。 でも…

恋のキューピッド

ほんの一瞬でした。 少し気を緩めた隙に彼女はハートを盗まれました。 彼女はまだ気づいていません。 しかしもう今頃は、誰か見知らぬ人物の手に渡っていることでしょう。 そして彼女は気づかないうちに、その人物と恋に落ちることでしょう。 そういう恋スリ…

掌の小説

公園のすべり台から飛び降りたら死ねるかなって考えていたら、 赤いスカートの女の子に「どいてよ、すべるんだから」って言って、押しのけられた。 「さっきはごめんね」って、小さな掌をぎゅっと握りしめて、ぼくに差し出す。 「なにが入っているの?」って…

暑い昼下がりに起きた奇蹟?

駅のホームで腰の曲がったおばあさんが歩いていた。 おばあさんは「はぁー」と大きく息を吐いたかと思うと、 腰をすくっと伸ばしたのだ。 何のために普段たたんでいるのか。。。 と考えているうちに、ばあさんは金属製の翼を広げて、 モビルスーツのように滑…

本屋さんでトイレに行きたくなる謎について

本の中には精霊が棲んでいます。とても小さな声ですが、本の中身を朗読しています。微細な周波数ですので、身体に大きな影響はありません。人によっては消化器官に働きかけることがあります。本屋さんでトイレに行きたくなるのはそのせいです。図書館で静か…